インプラントにおけるメンテナンスの重要性とかかる費用の目安
「インプラントのメンテナンスって本当に必要?」「メンテナンスの内容や費用を教えてほしい」などと考えていませんか。
手間がかかるため、できれば受けたくないと考えている方もいるでしょう。
メンテナンスは、インプラントを長持ちさせるために欠かせません。
定期的な受診を怠ると、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。
ここでは、メンテナンスの重要性を解説するとともに、メンテナンスの内容や費用、セルフケアのポイントなどを紹介しています。
インプラントを良い状態に保ちたい方は参考にしてください。
インプラントのメンテナンスが重要な理由
インプラントの治療後は、自宅で行うセルフケアと歯科医院で行うメンテナンスが必要です。
治療を終えると、お手入れが不要になるわけではありません。
これらを怠ると、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。
代表的なトラブルには、インプラント周囲の組織に細菌が感染するインプラント周囲炎があります。
これは、インプラントにおける歯周病ともいえます。
放っておくと次の症状などが現れます。
【インプラント周囲炎の主な症状】
- 歯茎から血や膿がでる
- 歯茎が下がってインプラント体が露出する
- インプラントが抜け落ちる
歯周病とよく似た症状が現れることがあります。
しかし、進行スピードは歯周病よりも早いと考えられています。
インプラント周囲炎の主な原因は、磨き残した歯周病菌が増殖することです。
したがって、自宅で行うセルフケアと歯科医院で行うメンテナンスが重要と考えられています。
インプラントのメンテナンス項目
歯科医院で行うメンテナンスでは、どのような項目が含まれるのでしょうか。
基本的なメンテナンスの内容を紹介します。
口腔内チェック
メンテナンスでは、患者の口腔内の状態を確認します。
現在の状態を評価し、必要な対策を講じるためです。
具体的なチェックポイントは以下の通りです。
【主なチェックポイント】
- インプラント周囲炎の症状
- インプラントのぐらつき
- インプラントの不具合、破損
- 歯周ポケットの深さ
- 噛み合せ
- 磨き残しの有無
- 虫歯、歯周病の有無
主に目視により、セルフチェックではわからないポイントを確認します。
インプラントの状態を維持するために重要な取り組みです。
レントゲンによる検査
目視だけではすべての状態を確認できないためです。
定期的にレントゲン撮影も行います。
レントゲン撮影でチェックする主なポイントは以下の通りです。
【主なチェックポイント】
- インプラントの状態
- 歯槽骨の吸収
- 歯槽骨の炎症
- 周囲の歯の状態
主に、人工歯根と歯槽骨の結合を確認するといえるでしょう。
レントゲン撮影の頻度は、年に1回程度が目安です。
メンテナンスのたびに行うわけではありません。
クリーニング
歯科衛生士などの専門家が、徹底的に歯を清掃します。
これをPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)といいます。
専用の器具や薬剤を用いて、インプラント周辺の汚れやセルフケアでは除去しにくい歯石・歯垢を取り除くことがポイントです。
具体的には、スケーラーと呼ばれる器具で歯石を除去したり、回転式の器具を用いて歯面を清掃したりします。
セルフケアでは落としきれなかった汚れを取り除けるため、インプラント周囲炎や虫歯の予防に効果があると考えられています。
ブラッシングの指導
歯科医院で行う定期的なメンテナンスは、患者様によるセルフケアを補助する役割を果たします。
基本的なお手入れは、自宅で行う毎日のセルフケアです。
したがって、メンテナンスではブラッシングの指導も行っています。
具体的な指導内容は以下の通りです。
【主な指導内容】
- 正しいブラッシングの方法
- 歯間ブラシ、デンタルフロスなどの使い方
- 汚れが残っていた部位の磨き方
ブラッシングの指導を繰り返し受けることで、セルフケアの質を高めることができます。
歯科医院と協力してお手入れに取り組むことが大切です。
インプラントのメンテナンスを怠るリスク
メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
インプラント周囲炎は、インプラントの脱落を招く恐れのある深刻な病気です。
自覚症状が現れにくいうえ、進行スピードも速いため、定期的なメンテナンスで早期発見と早期治療に努めることが重要です。
また、噛み合わせが悪くなることも考えられます。
噛み合わせが悪くなると、インプラントの寿命が短くなったり、顎関節症のリスクが高まります。
歯並びやライフスタイルの影響で噛み合わせが悪化することもあるため、定期的なメンテナンスで確認することが大切です。
インプラントのメンテナンスにかかる費用の相場
メンテナンスにかかる費用の相場は、1回あたり3,000~10,000円程度です。
具体的な費用はケースごとに異なります。
患者様のお口の状態やインプラントの状態によって、必要なメンテナンス、検査、ケアの内容が異なるためです。
また、保険が適用されないことにも注意が必要です。
歯科医院が自由に費用を決められるため、メンテナンスの内容が同じであっても、費用が異なる場合があります。
メンテナンスの頻度は、2~4カ月に1回程度が目安です。
インプラント治療を検討している方は、メンテナンスにかかる費用を事前に準備しておくことが大切です。
インプラントのセルフケア
インプラントを長持ちさせるため、自宅で行うセルフケアも欠かせません。
ここでは、セルフケアのポイントを解説します。
丁寧に歯磨きする
セルフケアの基本は、丁寧なブラッシング(歯磨き)です。
磨き残しがないように、丁寧にブラッシングを行うことが大切です。
気を付けたいポイントは以下の通りです。
【ブラッシングのポイント】
- 「ふつう」または「やわらかめ」の歯ブラシを使用する
- 歯茎を傷つけない程度の力加減を意識する
- 歯ブラシの毛先をインプラントと歯茎の境目にあてる
- 歯周ポケットの汚れを掻きだすように磨く
漫然とブラッシングするのではなく、以上のポイントを意識してブラッシングすることが大切です。
歯磨き粉にも気を配る
歯磨き粉選びにも注意が必要です。
研磨剤入りの歯磨き粉は、インプラントを傷つけてしまう恐れがあるため、使用を控えることが望ましいです。
同様に、顆粒入りの歯磨き粉にも注意が必要です。
顆粒がインプラントの隙間に侵入し、残留して炎症を起こす恐れがあります。
基本的には、これらを含まない歯磨き粉がおすすめです。
フッ素配合の歯磨き粉も避けるべきとされることがありますが、一般社団法人日本口腔衛生学会は、科学的な判断をもとに、天然歯を有する限りチタン製歯科材料使用者(インプラントを含む)にも、フッ化物配合歯磨剤の利用を推奨すべきと結論づけています。
フッ素を配合している歯磨き粉は、使用しても問題ないと言えるでしょう。
出典:一般社団法人口腔保健協会「フッ化物配合歯磨剤の利用はチタン製歯科材料使用者にも推奨すべきである」
デンタルフロスを使用する
セルフケアの基本は歯ブラシですが、歯ブラシだけだと歯垢の6割程度しか落とせません。
歯と歯の間など、狭い箇所にブラシが届きにくいためです。
磨き残しを減らすために、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具の使用が推奨されています。
インプラント治療を受けた方は、これらの使用を検討することが推奨されます。
インプラントを長持ちさせるコツ
インプラントの寿命には、ライフスタイルや健康状態も関わっています。
続いて、インプラントを長持ちさせるコツを紹介します。
禁煙する
喫煙は、インプラントに悪影響を与えます。
具体的には、血流が悪くなって歯茎に酸素や栄養を届けにくくなる、術後の回復が遅くなる、免疫力が低下するなどの影響が生じます。
これらの結果、インプラント体が骨と結合せず手術に失敗したり、インプラント周囲炎になったりするリスクが高まります。
そのため、インプラントを長持ちさせるためには禁煙が必要とされています。
禁煙が難しい場合は、減煙に取り組むことが望ましいでしょう。
食生活に気を付ける
インプラント治療の利点は、自分の歯と同じ感覚で噛める点です。
しかし、硬い食べ物には注意が必要です。
強い力が加わると、人工歯が欠けたり、割れたりする恐れがあります。
また、インプラントや骨にダメージを与えてしまうことも考えられます。
硬い食べ物として、氷、ナッツ類、飴などが挙げられます。
これらを噛み砕かないようにしましょう。
身体の健康にも気を付ける
インプラントの状態は、身体の健康にも影響を受けます。
例えば、糖尿病で血糖値をコントロールできていないと、免疫に関与する細胞の働きが低下するため、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
また、骨吸収のリスクも高くなります。
インプラントを長持ちさせるため、身体の健康に気を付けることが大切です。
インプラントはメンテナンスが不可欠
本記事では、インプラントのメンテナンスについて解説しました。
メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
インプラント周囲炎は、インプラントの脱落につながる病気です。
セルフケアだけでは防ぎにくく、自覚症状が現れにくいため、定期的なメンテナンスで予防と早期発見を心がける必要があります。
メンテナンスの頻度は2~4カ月に1回、費用の目安は3,000~10,000円です。
歯科医師の指示に従って、定期的にメンテナンスを受けることが大切です。
世航会デンタルオフィスではインプラントを推奨しており、さまざまな症例に幅広く対応できる体制を整えています。
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