インプラントにおける5つのリスクと回避するための方法について
インプラント治療を検討している方に向け、インプラントに伴うリスクを解説します。
歯を失ったときに「インプラントをしたいけれど…」と迷われる方は少なくありません。
インプラントはリスクが多いのではないか、ブリッジなど他の治療法を選択すべきではないかという不安があるようです。
そこで、本記事ではインプラントのリスクとその回避方法について解説します。
本記事を参考にしていただくことで、安全性の高い治療を受けるための方法をご理解いただけるでしょう。
インプラントとは
インプラントとは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、義歯を装着する治療方法です。
歯を失った際の治療方法には、入れ歯やブリッジなどもあります。
しかし、インプラントは顎の骨と結合するため、自分の歯とほぼ同様の使い方ができる点が大きな特徴です。
天然歯のように審美性が高く、咀嚼力も天然歯とほとんど変わりません。
3つの部品で構成されており、顎の骨と結合する部分はインプラント体、もしくは人工歯根と呼ばれます。
インプラント体の上にアバットメントと呼ばれる部品を装着し、アバットメントの上に義歯となる上部構造を装着する構造です。
インプラントの素材には、金属アレルギーの症状が出にくいチタンが使われており、アレルギー体質の方でも比較的安心です。
以上のように、インプラントは入れ歯やブリッジとは異なり、顎の骨に結合するタイプの義歯を指します。
インプラント治療で起こりうるリスク
インプラント治療は安定感があり、審美性も機能性も高い治療方法です。
しかし、リスクも伴います。
治療を受ける前に、インプラントにどのようなリスクがあるのかを把握しておきましょう。
リスク1:インプラント周囲炎
最初に、インプラント周囲炎のリスクが考えられます。
インプラント周囲炎とは、歯周病に似た状態です。
細菌の繁殖によって顎の骨の溶解が起こり、インプラントがぐらついたり、脱落したりすることも珍しくありません。
インプラント周囲炎は、インプラント治療後におけるリスクの中で、最も注意が必要な問題です。
リスク2:上顎洞炎
インプラント治療中に、上顎洞炎を発症するリスクも考えられます。
上顎にインプラントを埋入する際に、上顎洞と呼ばれる部分にダメージが加わることで引き起こされます。
上顎洞は上顎と鼻腔の間にある空洞で、上顎へのインプラント治療の際に損傷することがあります。
損傷によって炎症が起こると、痛みや腫れ、頭痛、発熱などの症状が現れます。
頻発するわけではありませんが、上顎洞炎のリスクがあることも把握しておきましょう。
リスク3:血管や神経の損傷
次に、血管や神経の損傷について説明します。
顎の骨に穴を開ける外科手術が必要となる以上、血管や神経への損傷が起こる可能性はゼロではありません。
もちろん、あってはならないことですが、下顎への手術時に神経や血管が損傷する可能性があります。
もし損傷が生じると、口の周りに神経麻痺が起きたり、出血が見られるなどの症状が現れます。
血管や神経の損傷は、深刻な状態を引き起こす可能性があるリスクの一つです。
リスク4:金属アレルギー
インプラントのリスクの一つに、金属アレルギーの発症が挙げられます。
インプラントは、金属アレルギーを引き起こしにくいチタン製です。
しかし、近年ではチタンによるアレルギー症状の発症も報告されており、調査によると0.6%の方にチタンアレルギーが確認されています。
出典:JSTAGE:(PDF)医療用チタン材およびその表面処理
顎の骨と金属を結合させる治療であるため、体内に金属が埋め込まれることになります。
体質によっては、金属アレルギーの症状が現れることもあるでしょう。
リスク5:骨との不結合
最後のリスクとして挙げられるのが、インプラントと骨の不結合です。
通常であれば骨とインプラント体は結合し、天然歯のような安定感が生まれます。
しかし、場合によっては結合がうまくいかず、不安定になることもあります。
原因はさまざまで、手術前の検査不足や診断ミス、骨量の不足などが考えられます。
インプラントと骨の結合は100%保証されておらず、失敗するリスクもあることを把握しておきましょう。
インプラント治療のリスクが生じる可能性が高い方
インプラントにはいくつかのリスクがあることを解説しました。
しかし、治療においてリスクが生じる可能性が高い方には一定の傾向があります。
つまり、リスクを避けることも可能であるということです。
それでは、どのような方にリスクが生じやすいのか、4つの観点から特徴を見ていきます。
1.口腔内の衛生状態が悪い方
まず、口腔内の衛生状態が悪い方は、インプラント治療においてリスクが生じやすい傾向にあります。
なぜなら、口腔内で細菌が繁殖しやすく、インプラント周囲炎にかかるリスクが高くなるためです。
インプラント周囲炎は細菌によって引き起こされます。
セルフケアが行き届いていない場合や、定期メンテナンスを受けていない場合には、細菌が増えて感染しやすくなります。
問題なくインプラントを維持し続けるためにも、口腔内の衛生状態は良好に保つことが重要です。
2.全身疾患を抱えている方
次に、全身疾患を抱えている方もリスクが生じやすいと言えます。
たとえば、心臓病や糖尿病、高血圧症などが挙げられます。
全身疾患を抱えている方は免疫力が低い場合があり、細菌による感染を受けやすく、リスクが高くなりがちです。
また、服用している医薬品によっては、出血が止まりにくい場合もあります。
手術を受ける際の緊張で、一時的に血圧が急上昇する方も少なくありません。
全身疾患がある方は、かかりつけ医からの許可を得た上でインプラント治療を受けるようにしてください。
かかりつけ医と歯科医が連携し、細心の注意を払いながら治療を進めることが重要です。
3.骨密度が低い方
骨密度が低い方も、インプラント治療においてリスクが生じやすくなります。
なぜなら骨密度が低い方は、インプラント体と顎の骨が結合しにくいためです。
さらに、手術後の回復が遅い傾向にあるため、治療期間も長くなる傾向があります。
顎の骨にインプラント体を埋め込む手術である以上、骨の強度が高いことが重要です。
骨粗鬆症であるなど、骨密度に問題のある方は、インプラント治療において予後が良くない可能性が高まります。
4.喫煙習慣がある方
最後に、喫煙習慣のある方についてです。
一般的に、インプラント手術を受けるには禁煙が理想であると言われています。
喫煙はインプラントへの悪影響が大きく、インプラント周囲炎のリスクを高めると報告されています[1]。
また、タバコに含まれる有害物質は傷の治りを遅らせ、組織の炎症を促すとも言われています[1]。
そのため、インプラント治療を行う前には禁煙することが基本です。
喫煙習慣のある方は、インプラント治療がうまくいかないことが多く、リスクが高い状態になると言えるでしょう。
インプラント治療におけるリスクを回避する方法
インプラント治療にはさまざまなリスクがあります。
リスクを完全に排除することはできませんが、リスクが生じる可能性を低減することは可能です。
これからインプラント治療を受けたいと考えている方は、成功率を高めるために次の方法を試してください。
リスクを回避しやすくなり、治療効果も期待しやすくなるでしょう。
方法1:実績のある歯科医院を選ぶ
まず、実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。
インプラント治療は、一人ひとりの口腔状況に応じて治療方法が異なります。
症例によっては、治療の難度が上がることもあるでしょう。
その点、実績が豊富で多様な症例を経験した歯科医院であれば、難度の高い症例にも対応できる、手術経験も豊富であるため、血管や神経を損傷しないよう配慮できるでしょう。
実績のある歯科医院を選ぶことで、インプラントのリスクを大幅に抑えられます。
方法2:セルフケアを徹底する
セルフケアを徹底することも重要です。
インプラント周囲炎は治療後の大きなリスクですが、セルフケアによってそのリスクを低減できます。
毎日のケアを丁寧に行うことで、治療後も良い状態を保つことができるでしょう。
方法3:歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける
セルフケアだけでなく、歯科医院による定期的なメンテナンスも適切に受けることが重要です。
インプラント治療後は、歯科医院から定期メンテナンスの指導があるでしょう。
メンテナンスは、口腔内を清潔に保つだけでなく、インプラント周囲炎やその他の不具合を早期に発見する役割も担います。
定期メンテナンスを受けていれば、問題が発生した際にも早期に対処が可能です。
方法4:禁煙する
禁煙することもリスクを回避する方法の一つです。
前述したように、喫煙はインプラント治療における大きなリスクファクターとされています。
しかし、禁煙することで、傷の治りが早くなり、炎症が起こりにくくなるなど、さまざまな恩恵が得られます。
インプラント治療を検討している喫煙者の方は、まず禁煙を目指してから治療を開始しましょう。
インプラントのリスクは回避可能
いかがでしたでしょうか?
この記事をお読みいただくことで、インプラントのリスクについてご理解いただけたかと思います。
インプラントにはさまざまなリスクがあることは事実です。
しかし、回避するための方法もあるため、治療を始める前にリスクを避ける方法を取ることが重要といえます。
世航会デンタルオフィスでは歯科用CTを導入し、安全性の高い治療を行っています。
骨造成法、骨再生治療にも対応しているので、骨に不安のある方も、お気軽にご相談ください。
[1]
参照:JSTAGE:(PDF)インプラント周囲炎に関連する全身的リスクファクター
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