インプラント治療のデメリット6選!後悔しないためのポイントも解説
インプラントは、失った歯の機能を取り戻すための治療法として注目されています。
天然歯に近い感覚で食事を楽しめることや、見た目の美しさから人気を集めていますが、治療にはさまざまなデメリットも。
本記事では、インプラント治療のデメリットを解説します。
高額な治療費用や長期にわたる治療期間、手術に伴うリスクなど、治療前に知っておくべき重要なポイントをお伝えします。
インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
インプラントのデメリット
治療を検討される際は、以下のデメリットを理解し、自分に合った治療法かを慎重に判断することが大切です。
- 保険適用外で費用が高額
- 治療期間が長め
- 外科手術が必要
- 治療後もメンテナンスが必要
- 歯周病菌へ感染するリスクがある
- 歯が長く見えることがある
それぞれ解説します。
保険適用外で費用が高額
インプラント治療は保険適用外のため、治療費用が高額になります。
治療費には術前の検査費用や手術費用、人工歯の製作・装着費用などが含まれ、複数の歯を治療する場合はさらに費用が必要です。
また、骨の状態がよくない場合は骨造成手術を要することもあり、その場合は追加の費用が発生します。
さらに、治療後も定期的なメンテナンス費用が発生するため、長期的な費用計画を立てることが大切です。
医院によって料金体系が異なるため、複数の歯科医院で相談し、詳しい費用内容を確認することをおすすめします。
治療期間が長め
インプラント治療は、通常の歯科治療と比べて治療期間が長くなります。
一般的な治療期間は半年から1年程度で、これは人工の歯根を埋め込んだ後、顎の骨と結合するまでの時間が必要なためです。
初回の手術後、骨との結合を待つ期間(オッセオインテグレーション)には通常3~6ヶ月かかります。
その後、人工の歯を装着するまでにも時間を要します。
また、骨の状態がよくない場合は骨造成手術が必要となり、さらに3~6ヶ月ほど治療期間が延びる場合も。
治療開始前に、主治医から詳しい治療計画を確認しておくことが大切です。
外科手術が必要
インプラント治療では、顎の骨に人工の歯根を埋め込む外科手術が必要です。
手術は局所麻酔を使用して行われますが、術後は痛みや腫れが数日間続くことも。
また、手術部位の出血や内出血による青あざが生じる場合もあるため、術後は安静に過ごさなければいけません。
全身の健康状態によっては手術ができないため、治療前の詳しい診察と検査が重要です。
とくに、糖尿病や心臓病などの持病がある方や喫煙習慣のある方は、手術のリスクが高まる可能性があります。
手術に対する不安がある場合は、事前に主治医によく相談しましょう。
治療後もメンテナンスが必要
インプラント治療後は、長期的な経過観察とメンテナンスが不可欠です。
これは、インプラントと顎の骨が結合した状態を維持し、人工歯と天然歯のバランスを保つためです。
定期検診ではレントゲン撮影や、噛み合わせのチェックなどが行われます。
また、インプラントは天然歯と異なり、違和感をもちにくいのが特徴です。
そのため、問題が発生していても気づきにくく、定期検診での早期発見が重要です。
メンテナンスでは専門的な器具による清掃や、必要に応じて噛み合わせの調整なども行われます。
長期的に安定した状態を保つためには、日々のメンテナンスが欠かせません。
歯周病菌へ感染するリスクがある
インプラント周囲炎とは、歯周病菌による感染症です。
インプラントと歯ぐきの境目に歯周病菌が付着し、放置すると炎症が進行してインプラントを支える骨が溶けていく可能性があります。
症状が重症化すると、最悪の場合インプラントが脱落することも。
とくに歯周病の既往や喫煙習慣、糖尿病などがある方は、感染のリスクが高まる傾向にあります。
インプラント周囲炎を防ぐためには、日々の丁寧な歯磨きと定期検診が大切です。
早期発見・早期治療が可能な体制を整えることで、長期的な治療の成功につながります。
歯が長く見えることがある
インプラント治療後、人工歯が天然歯より長く見えることがあります。
これは、歯を失った部分の歯ぐきが徐々に下がってしまうことや、インプラントの埋入位置によって起こる現象です。
とくに前歯部分のインプラントでは、見た目の違和感がある方も少なくありません。
この問題を防ぐためには、治療前の詳しい検査と慎重な治療計画が効果的です。
必要に応じて歯ぐきの処置を行うことで、より自然な見た目を実現できる場合も。
治療前には完成後のイメージを主治医とよく相談し、期待する仕上がりを具体的に伝えることが大切です。
インプラントのメリット
インプラント治療にはデメリットがありますが、多くのメリットも備えています。
以下では、おもなメリットを解説します。
- 天然歯に近い感覚
- 見た目がきれいで笑顔に自信が持てる
- ほかの歯への影響が少ない
- 自然な会話や食事が楽しめる
- インプラントは虫歯にならない
- 骨が痩せるのを防げる
それぞれ見ていきましょう。
天然歯に近い感覚
インプラントは、人工歯根を顎の骨に直接埋め込んで固定する治療法です。
歯の土台から人工歯を支えるため、天然歯にもっとも近い感覚で使用できます。
入れ歯やブリッジと比べると、より自然な装着感が特徴です。
歯ぐきにかかる負担も少なく、異物感をほとんど感じることなく生活できます。
また、顎の骨と結合するため、噛む力も天然歯と同じように伝わります。
そのため、食事の際の違和感も少なく、通常の歯とほぼ変わらない感覚で使用できることが大きな特徴です。
見た目がきれいで笑顔に自信が持てる
インプラントは、見た目の美しさでも高い評価を得ています。
人工歯は、患者の残っている歯に合わせて丁寧に製作されるため、色や形・大きさなど、天然歯との違いがほとんど分かりません。
とくに前歯のインプラントでは、これがより顕著に現れます。
入れ歯特有の金具が見えることもなく、装着していることが周りの人に気づかれにくいため、人目を気にすることなく笑顔で話せます。
また、歯並びも美しく整うので、見た目の悩みを解消し、笑顔に自信が持てるでしょう。
ほかの歯への影響が少ない
インプラント治療の大きな特徴は、周囲の健康な歯を傷つけることなく治療できる点です。
一般的なブリッジ治療では、両隣の健康な歯を削って土台にする必要があります。
しかし、インプラントでは失った歯の部分だけを治療するため、ほかの歯を傷つける心配がありません。
このため、健康な歯を保護でき、将来的な歯のトラブルを防ぐことにもつながるでしょう。
また、両隣の歯に負担をかけることもないため、残っている歯の寿命を延ばせます。
歯を1本失った場合でも、その部分だけで完結する治療が可能なため、口腔内の健康維持という点でも優れています。
自然な会話や食事が楽しめる
インプラントは顎の骨と結合するため、入れ歯と比べて安定性に優れています。
そのため、食事の際も硬いものを噛んでも外れる心配が少なく、食材を選ぶ必要がありません。
また、温かい食べ物も冷たい食べ物も自然に感じられ、食事を十分に楽しめます。
会話の面でも大きなメリットがあります。
入れ歯特有の違和感や不安定さがないため、発音が明瞭で自然な会話が可能です。
また、突然外れる心配もないため、人と話す際の不安やストレスから解放され、自信を持ってコミュニケーションを取れるでしょう。
インプラントは虫歯にならない
インプラントの人工歯は、虫歯の原因となる細菌に侵されない特殊な材料でできています。
そのため、天然歯のように虫歯のリスクを気にする必要がありません。
ただし、インプラント周囲の歯ぐきや隣接する天然歯は、通常どおりのケアが必要です。
とくに、インプラントと歯ぐきの境目は汚れが溜まりやすいため、日々の丁寧な歯磨きや口腔ケアが欠かせません。
虫歯にならないからとメンテナンスを怠ると、ほかのトラブルを引き起こす可能性があります。
骨が痩せるのを防げる
歯を失うと、その部分の顎の骨は使われなくなるため、徐々に痩せていく傾向にあります。
これを骨吸収といい、放置すると顔つきに影響を与える可能性も。
インプラントは人工歯根を骨に埋め込むため、咀嚼時の刺激が骨に伝わり、骨の萎縮を防げます。
これにより顔の形状を保て、見た目の老化予防にもつながります。
とくに前歯部分の骨が痩せると、口元の形が変化して老けて見えることがありますが、インプラント治療はそうした変化を防ぐことが可能です。
また、十分な骨量を維持できることで、将来的な治療の選択肢も広がります。
インプラントをやらなきゃよかったと後悔しないために
インプラント治療は長期的な治療となるため、慎重な準備と適切な医院選びが肝要です。
後悔のない治療を実現するため、以下に注意しましょう。
- 不安や疑問点は必ず主治医に確認する
- 歯科用CTなど設備の整った歯科医院を選ぶ
- 治療後に保証があるか確認する
これらのポイントを押さえ、十分な情報収集と慎重な検討を行うことで、後悔のない選択につながります。
不安や疑問点は必ず主治医に確認する
インプラント治療は長期にわたる治療のため、内容や期間・考えられるリスクなど、気になることは事前に必ず確認することが大切です。
とくに、治療計画や費用内容、治療後のケア方法は詳しい説明を求めてください。
十分な説明をせずに治療を進めようとする医院は避け、患者の疑問や不安に向き合ってくれる医院を選択することがポイントです。
また、治療中に違和感や不安を感じた場合も、すぐに主治医に伝えましょう。
カウンセリングでは、医師の説明の仕方や対応を確認し、信頼できる医院かどうかを見極めることが重要です。
歯科用CTなど設備の整った歯科医院を選ぶ
インプラント治療の成功には、精密な診断と治療が欠かせません。
歯科用CTを使用することで、骨の状態や神経の位置を正確に把握でき、より安全で確実な治療につながります。
また、手術室の清潔管理や滅菌システムなども、治療の安全性を左右する要素です。
医療設備が整っていることは、その医院がインプラント治療に真摯に取り組んでいる証明にもなります。
設備の有無だけでなく、それらを適切に活用できる技術と経験を持っているのかも、医院選びの大切なポイントです。
治療後に保証があるか確認する
インプラント治療後のトラブルに備えて、保証期間や適用条件、費用負担の有無など具体的な内容を事前に確認することが大切です。
とくに、定期的なメンテナンスを受けることを保証の条件としている医院も多いため、保証を受けるための条件は必ず把握しておきましょう。
長期的な安心のために、アフターケアが充実している医院を選ぶことが賢明です。
また、保証制度がある場合でも、その内容や条件は医院によって大きく異なります。
複数の医院の保証内容を比較検討し、納得のいく医院選びを心がけましょう。
関連記事:老後のインプラント治療はリスクある?メリットとデメリットを徹底解説
まとめ:インプラントはデメリットばかりではない
インプラント治療には、高額な費用や手術のリスク、治療期間の長さなど、いくつかの課題があります。
しかし、これらのデメリットをあらかじめ理解し、適切な医院選びを行うことで、より安全で満足度の高い治療が可能です。
天然歯に近い使用感や見た目の美しさ、骨を保護できるといったメリットを考えると、長期的な口腔環境の改善に有効な治療法といえます。
信頼できる医院で十分な説明を受け、自身の状況に合わせた判断が、成功への近道となるでしょう。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
©︎2023 Sekoukai.世航会
都内21院展開!土日診療・当日予約可能!