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インプラントとセラミックの違いは?治療方法や選び方を解説 | 歯医者さんのお役立ちコラム
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インプラントとセラミックの違いは?治療方法や選び方を解説

インプラントとセラミックは、どちらも歯科治療で多く使われる方法です。
しかし、どちらの治療方法を選ぶべきか迷う方もいるでしょう。

 

インプラントは歯を完全に失った際に人工歯根を埋め込む治療法で、セラミックは歯の一部を補修したり見た目を整えたりするための素材として使われます。

 

本記事では、インプラントとセラミックの違いや治療方法の選び方を解説します。
自分に最適な治療方法を選びたい方は、参考にしてください。

インプラントとセラミックの違い

ここでは、インプラントとセラミックの違いを詳しく解説します。
自分に適している治療方法を見つけたい方は、参考にしてください。

インプラントとは

インプラントは、歯根を失った部分にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上にアバットメントという支台を介して人工の歯を装着する治療法です。
失った歯の機能を完全に取り戻せて、見た目も自然な仕上がりが特徴です。

 

以下では、インプラントの構造や費用、メリットなどを解説します。

構造・素材

インプラントは以下3つの部分から構成されています。

  • 人工歯根(フィクスチャー)
  • 人工歯(上部構造)
  • アバットメント(土台・接合部分)

フィクスチャーには生体親和性が高く強度のあるチタンが使用され、上部構造にはセラミックなどの審美性の高い素材が用いられるのが特徴です。
この構造により、天然歯に近い機能と見た目を実現しています。

 

また、強度の高いジルコニアセラミックが選ばれる場合もあります。
素材の組み合わせによって耐久性が高く、長期にわたって安定して使用できる治療法です。

寿命

インプラントの寿命は一般的に10〜15年ほどです。
ただし、適切なケアを継続した際の目安で、毎日の丁寧なブラッシングと定期的な歯科健診は欠かせません。
メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎などのトラブルが発生し、寿命が短くなる可能性があります。

寿命に影響を与える要因は、下記のとおりです。

  • 口腔内の衛生状態
  • 噛み合わせの力
  • 定期健診の有無

インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病に似た炎症が発生すると、フィクスチャーが顎骨と分離し、インプラントが機能を失うことがあります。
インプラントを長持ちさせるには、日々のブラッシングやフロスを含むセルフケアと、歯科医院での定期的なメンテナンスが大切です。

 

とはいえ、一般的な差し歯は寿命7〜10年なのに対し、インプラントは長期的な使用が期待できる治療法です。

費用相場

インプラント治療は1本あたり30〜50万円ほどの費用がかかります。
人工歯根の埋め込み術や、その後の人工歯の装着など、複数の治療ステップが必要になるためです。

 

ただし、骨量が不足している場合は骨造成手術が必要となり、追加費用が発生します。
また、治療に使う素材や技術の違い、歯科医院の設備や地域によっても費用に差が出ます。

 

医療ローンの利用で分割払いが可能なケースもありますが、保険適用外なので高額になりやすい点に注意が必要です。
ただし、確定申告時に医療費控除の対象となるため、一部の費用が戻る可能性があります。
治療を検討する際には、事前に歯科医師に費用の詳細を確認しましょう。

メリット

インプラント治療の最大のメリットは、天然歯に近い見た目と機能を取り戻せる点です。
人工歯根を顎骨に埋め込み、骨と結合させることで、十分に固定され安定性が高まります。
このため、入れ歯のようにズレたり外れたりする心配がなく、食事や会話も快適です。

 

また、インプラントは隣接する健康な歯を削る必要がありません。
そのため、周囲の歯への影響が少ないことも特徴です。

 

さらに、顎骨が刺激を受けることで骨の萎縮を防ぎ、顔の輪郭を長期間維持する効果も期待できます。
寿命が長く、適切なケアを行うことで20年以上使用できるのも魅力です。

デメリット

インプラントのデメリットは、手術を伴う治療であることと、費用が高額な点です。
人工歯根を顎骨に埋め込むため、外科手術が必要であり、術後の腫れや痛みが伴います。

 

また、治療期間も長く、完了までに数ヶ月から1年以上かかるのが一般的です。
その間は仮歯を使用しての生活となります。

 

費用面でも30万円以上と高額なのもデメリットです。
保険適用外であることから、経済的な負担も大きくなります。
骨量が不足している場合は骨造成手術が必要なため、さらに費用と身体的負担が増えるでしょう。

 

治療後も定期的なメンテナンスが欠かせません。
口腔内のケアを怠るとインプラント周囲炎を引き起こすリスクがあります。

インプラントが向いているケース

インプラント治療が適しているのは、歯を完全に失った場合や入れ歯やブリッジに満足できない場合です。
インプラントは、歯根から支える構造を持つため、自然な見た目と機能を取り戻せます。
入れ歯がぐらつく、外れる、食事がしにくいといった問題を抱えている方におすすめです。

 

また、周囲の健康な歯を削りたくない方にも適しています。
ブリッジ治療では隣接する歯を削る必要があります。
しかし、インプラントは独立して機能するため、ほかの歯に負担をかけません。

 

さらに、顎骨が強い方や、長期間安定した歯の状態を保ちたい方にも適しています。

 

ただし、糖尿病などの持病がある方や、骨量が少ない方は治療が難しい場合があります。
喫煙者も治療の成功率が低下する可能性があるため、事前に歯科医師との相談が必要です。

セラミックとは

セラミックは、歯科用陶材を使用した詰め物や被せ物の治療に用いられる材料です。
虫歯や欠け・割れた歯の修復に使用され、既存の歯根を活かして治療を行います。

 

以下では、セラミックの構造や費用、メリットなどを解説します。

構造・種類

セラミックは、詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)に利用され、その種類によって特徴が異なります。

種類 特徴
ジルコニアセラミック
  • 高強度で耐久性に優れている
  • 奥歯の治療にも適している
オールセラミック
  • 金属を一切使用せず、審美性が高い
  • 金属アレルギーの心配がない
ハイブリッドセラミック
  • レジンとセラミックを組み合わせた素材
  • 比較的費用を抑えられる
  • 一部が保険適用になる
メタルボンド
  • 金属の上から陶材を焼き付けた素材
  • 強度と審美性のバランスに優れている

それぞれの特徴を理解し、用途に応じて選ぶことが大切です。

寿命

セラミックの寿命は通常10〜20年ほどです。
ただし、使用する素材の種類や歯の場所、日々のケアによって期間は変わります。

 

セラミックは変色しにくく、美しい見た目を長期間保てるのが特徴です。
しかし、衝撃や噛み合わせの力に弱く、割れるリスクがあります。

 

とくに奥歯など力が強くかかる部分では、耐久性が求められるジルコニアセラミックなどが選ばれることが多いです。
寿命を延ばすためには、日常的な口腔ケアと定期的な歯科健診が大切です。

 

歯ぎしりや食いしばりを防ぐためにナイトガードを装着する方法もあります。
寿命が近づくと交換が必要になりますが、適切なメンテナンスを行えば、美しい状態を保てるでしょう。

費用相場

セラミック治療の費用は、素材や治療内容により異なります。

種類 費用相場
オールセラミックのクラウン 8~18万円
ジルコニアセラミック 10〜20万円
ハイブリッドセラミック 4〜8万円

費用には、型取り・製作・装着の工程が含まれており、保険適用外のため全額自己負担となることが一般的です。

 

費用を抑えつつ最適な治療を受けるためには、事前に歯科医師と治療計画や見積もりを十分に話し合うことが大切です。

メリット

セラミックの最大のメリットは、天然歯に近い美しい見た目を実現できることです。
透明感があり、自然な色合いを再現できるため、治療箇所が目立ちにくいのが特徴です。

 

また、変色しにくい素材であるため、長期間にわたって美しさを保てます。
金属を一切使用しないため、金属アレルギーのリスクがなく、歯茎が黒ずむ心配もありません。

 

さらに、セラミックの表面は滑らかで歯垢が付着しにくく、虫歯や歯周病のリスクを軽減する効果もあります。
審美性と衛生面の両方で優れているため、前歯の治療で多くの人に選ばれています。

デメリット

セラミック治療のデメリットは、下記のとおりです。

  • 衝撃に弱いので奥歯では割れやすい
  • 保険適用外の場合が多く、費用が高い
  • 健康な歯を削る必要がある
  • 素材の寿命があるため、使用年数に応じて交換が必要になる

多くのメリットがある一方で、耐久性や費用、健康な歯への影響も考慮する必要があるでしょう。

セラミックが向いているケース

セラミック治療は、審美性を重視する方や金属アレルギーがある方に適しています。
とくに前歯の治療では、天然歯に近い透明感や美しい見た目を再現できるセラミックが最適です。

 

また、金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がないのも魅力です。
さらに、変色しにくい素材であるため、長期間にわたって自然な見た目を保てます。

 

口腔内の衛生状態を良好に保ちたい方にも適しており、歯垢が付きにくく、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。
一方で、噛む力が強い方や奥歯に負荷がかかる場合は、耐久性の高い素材を選ぶのが賢明です。

 

セラミックは審美性と機能性のバランスがよい治療法として、多くのケースで採用されています。

自分に適している治療方法の選び方

ここでは、自分に適している治療方法の選び方を紹介します。

  • 残存歯の状態
  • 骨の状態
  • 金属アレルギーの有無

詳しく見ていきましょう。

残存歯の状態

歯根が完全に失われていたら、インプラント治療を選択するのが一般的です。
インプラントは人工歯根を顎骨に埋め込むため、完全に歯を失ったケースでも安定した噛み心地を得られます。

 

一方、歯根が残っている場合は、原則セラミックによる治療が推奨されます。
セラミックは歯の補修や見た目の改善を目的に使われており、残存歯を生かす治療におすすめです。

 

ただし、歯根が残っていても、虫歯や歯周病が重度に進行していると、抜歯してインプラント治療を行うケースもあります。
基本的には、歯根があるかどうかが治療法選択の大きな分かれ道となるでしょう。

骨の状態

人工歯根を十分に固定するには、十分な骨量と質が必要です。
骨が不足していると、骨造成手術や骨移植が必要になり、その分治療期間や費用が増えてしまいます。
とくに加齢や歯周病の進行によって骨が痩せてしまったケースでは、インプラント治療が難しい場合もあります。

 

一方、セラミック治療は顎骨の状態に影響されることが少なく、骨量が不十分でも問題なく行えるのが特徴です。
したがって、顎骨の状態が不良な場合は、セラミック治療が選ばれるケースも少なくありません。

 

また、糖尿病などの基礎疾患がある方や喫煙者の方は、骨との結合が難しくなる可能性があります。
このような場合は、セラミックなど別の治療法を検討するのが賢明です。

金属アレルギーの有無

金属アレルギーがある方は、治療法の選択には注意が必要です。
一般的なインプラントではチタン製の人工歯根を使用します。
チタンは比較的アレルギー反応を起こしにくい素材ですが、完全にリスクがないわけではありません。

 

そのため、金属アレルギーがある方には、オールセラミックによる治療が適しています。
金属アレルギーの有無を事前に確認し、適切な治療法を選びましょう。

 

関連記事:インプラントと差し歯の違いを徹底解説!選び方のポイント

まとめ:インプラントとセラミックの特徴を比較し、最適な治療方法を見つけよう

インプラントとセラミックは、それぞれ異なる歯の状態や治療目的に適した方法です。
歯根が残っていない場合や噛める歯を取り戻したいなら、インプラントが適しています。
一方、歯根が残っている・見た目を整えたい方にはセラミックが推奨されます。

 

また、費用や治療期間なども異なるため、治療を選ぶ際には自分の希望や歯科医師のアドバイスをもとに判断することが大切です。

 

それぞれの特徴を理解し、自分に合った治療法で健康で美しい歯を手に入れましょう。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学

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