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インプラント治療後の歯磨きは重要!理由と正しい歯磨き方法を解説 | 歯医者さんのお役立ちコラム
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インプラント治療後の歯磨きは重要!理由と正しい歯磨き方法を解説

インプラント治療後の歯磨きは、インプラントを長持ちさせるために欠かせないケアです。
虫歯にはなりませんが、適切に清掃を行わないとインプラント周囲炎を引き起こし、最悪の場合は脱落してしまうリスクがあります。

 

本記事では、インプラント治療後に歯磨きが重要な理由と、正しい歯磨き方法を解説します。
インプラントを長持ちさせたい方や、さまざまなリスクを回避したい方は、参考にしてください。

インプラントの歯磨きが重要な3つの理由

インプラント治療後の適切なケアは、治療の成功と長期的な口腔健康の維持に不可欠です。
インプラントの歯磨きが重要な理由は、下記のとおりです。

  • インプラントと天然歯の違い
  • メンテナンス不足で起こるトラブル
  • インプラント周囲炎のリスク

詳しく解説します。

インプラントと天然歯の違い

インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
虫歯にはなりませんが、天然歯とは異なる特徴があります。

項目 インプラント 天然歯
構造
  • 人工歯根(フィクスチャー)
  • 人工歯(上部構造)
  • アバットメント(土台・接合部分)
  • 歯根
  • 歯髄(神経や血管)
  • エナメル質
虫歯のリスク 虫歯にならない 虫歯になるリスクがある
歯周病のリスク インプラント周囲炎が発生する可能性あり 歯周病が発生する可能性あり
感覚 神経がないため、感覚がない 神経があり、温度や圧力を感じられる
免疫機能 自然な免疫機能はない 歯髄の血管や神経で、細菌に対する免疫機能がある
寿命 適切なケアで10~15年 適切なケアで生涯維持が可能
メンテナンス 定期的な歯科検診と特別なケアが必要 通常のブラッシングと歯科検診が必要

インプラントと歯茎の境目には微細な段差があり、歯垢や食べかすが溜まりやすくなっています。
また、天然歯には歯根膜という組織があり、細菌から歯を守る働きがあるのが特徴です。

 

しかし、インプラントにはないため、より丁寧なケアが必要となります。

メンテナンス不足で起こるトラブル

インプラントのメンテナンスを怠ると、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
たとえば、インプラント周囲に汚れが蓄積し、歯茎が腫れるなどの炎症を引き起こすことです。

 

適切な歯磨きを行わないと、インプラントの表面に汚れが蓄積し、本来の白さや輝きが失われてしまいます。
美しい見た目が損なわれるだけでなく、口臭の原因にもなるでしょう。

 

また、インプラント以外の天然歯にも影響を及ぼし、虫歯や歯周病のリスクが増加します。
適切なケアを怠ることでインプラントの寿命が短くなり、再手術が必要になる可能性があります。

インプラント周囲炎のリスク

深刻な合併症のひとつが、インプラント周囲炎です。
インプラント周囲に溜まったプラークや歯石が原因で炎症が起きる疾患で、初期段階では歯茎の腫れや出血といった軽い症状が見られます。
炎症が進行すると、顎骨が溶けてインプラントの安定性が失われ、脱落することもあります。

 

インプラント周囲炎は比較的発症しやすい疾患です。
日本歯周病学会によると、軽度の炎症が約30%、重度の炎症が約10%の患者に発症したと報告されています。
こうしたリスクを回避するには、歯磨きによる汚れの除去と、歯科医院での定期的なクリーニングが必要です。

インプラントの適切な歯磨き方法

インプラント治療を成功させ長期的に維持するためには、適切な歯磨き方法が不可欠です。
ここでは、適切な歯磨き方法を紹介します。

  • 歯ブラシの持ち方に気をつける
  • 2種類の歯ブラシを使い分ける
  • フロスを活用する

詳しく見ていきましょう。

歯ブラシの持ち方に気をつける

歯ブラシは、ペンを持つように親指・人差し指・中指の3本の指で持ちます。
この持ち方により、必要以上の力が入るのを防ぎ、繊細なコントロールが可能になります。

 

また、インプラントと歯茎の境目を磨く際は、歯ブラシを45度の角度に傾けるのもポイントです。
歯ブラシの毛先が適切にあたり、効果的に汚れを除去できます。

2種類の歯ブラシを使い分ける

インプラント治療後は、状況に応じて適切な歯ブラシを使い分けましょう。
手術直後は、傷口がデリケートな状態のため、市販のインプラント用やわらかめの歯ブラシを使用します。
これにより、出血や炎症のリスクを抑えられるでしょう。

 

治癒が進み傷口が安定してきたら、徐々に通常の硬さの歯ブラシに移行していきます。
強い力でのブラッシングは避け、優しく丁寧に磨くことを心がけましょう。

フロスを活用する

インプラント治療後の口腔ケアには、歯ブラシだけでなくフロスの使用も大切です。
歯ブラシだけでは届きにくい、歯間部分や奥歯の裏側の汚れを効果的に除去できます。

 

フロスは歯と歯の間の汚れを落とすのに最適で、インプラントと天然歯の境目の清掃に効果的です。
使用する際は、フロスを無理な力で押し込まず、優しく滑らせるように動かすのがポイントです。
インプラント周囲の組織を傷つけることなくお手入れできます。

インプラントのケアに必要な道具と選び方

インプラント治療後の適切なケアには、正しい道具の選択が重要です。
ここでは、インプラントのケアに必要な道具と選び方を解説します。

  • 歯ブラシ
  • デンタルフロス
  • 歯間ブラシ

詳しく見ていきましょう。

歯ブラシ

インプラントのケアに使用する歯ブラシは、毛先の細さと硬さに注目して選びましょう。
治療直後は柔らかめの歯ブラシを使用し、歯茎の回復に合わせて徐々に普通の硬さに移行するのがおすすめです。

 

毛先が細いタイプの歯ブラシを選ぶことで、インプラントと歯茎の境目の狭い隙間まで効果的に掃除できます。
また、一般的な歯ブラシにくわえて、ピンポイントでの清掃が可能なタフトブラシの使用もおすすめです。

デンタルフロス

デンタルフロスは、インプラントと隣接する歯の間に溜まる汚れを除去するために欠かせない道具です。
通常の歯ブラシでは届きにくい歯間部を清掃することで、プラークの蓄積を防ぎます。

 

ワックス加工されたフロスや特殊な形状のフロスを選ぶと、インプラント周囲の清掃がよりスムーズになります。
細めのフロスを選べば、狭い隙間にも無理なく挿入できます。

 

フロスの使い方を習慣化すれば、歯垢の蓄積を防ぎ、インプラント周囲炎のリスクを減らせます。
毎日のフロスケアを取り入れ、インプラントと口腔内全体の健康を守りましょう。

歯間ブラシ

歯間ブラシは、通常の歯ブラシやフロスでは届きにくい部分の清掃に効果的です。
サイズが豊富にあるため、自分の歯間の広さに合ったものを選ぶことで、汚れを十分に取り除けます。
ワイヤー部分がコーティングされたものを使用すれば、インプラントを傷つけるリスクを軽減できます。

 

歯間ブラシを使う際は、歯茎やインプラントを傷つけないよう優しく差し込み、軽く動かすのがコツです。
使用開始時は小さめのサイズから始め、歯科医師に相談しながら適切なサイズを選びましょう。

インプラントの歯磨きで注意するポイント

インプラント治療後にケアする際は、下記のポイントを押さえておきましょう。

  • 力を入れすぎない
  • 仮歯は丁寧に磨く
  • 手術当日は歯磨き・うがいをしない

詳しく解説します。

力を入れすぎない

強い力でブラッシングすると、インプラント周囲の組織を傷つけたり、炎症を引き起こしたりする可能性があります。
歯ブラシの毛先が広がってしまうほどの力は過剰なので、注意しましょう。

 

歯ブラシを歯の表面に軽く当て、小刻みに振動させるように磨くことで、効果的に汚れを除去できます。
とくにインプラントと歯茎の境目は、優しく丁寧に磨きましょう。

仮歯は丁寧に磨く

仮歯は通常の歯よりも汚れが付着しやすく、適切なケアを怠ると細菌が繁殖しやすくなります。
仮歯周辺は丁寧に磨き、歯垢や食べかすを完全に除去するのが大切です。

 

また、仮歯と歯茎の境目には注意を払い、歯ブラシの毛先を45度に傾けて、優しく念入りに磨きましょう。

手術当日は歯磨き・うがいをしない

インプラント手術当日は、手術部位の保護が最優先です。
傷口がもっともデリケートな状態にあるため、歯磨きやうがいは避けましょう。
これは、手術部位への過度な刺激を防ぎ、治癒を促進するためです。

 

翌日からは歯科医師の指示に従って、徐々に歯磨きを再開していきます。
手術部位には十分に注意を払い、やわらかい歯ブラシを使用して優しく磨きましょう。

まとめ:正しい歯磨き方法を身につけて、インプラントの寿命を延ばそう

インプラント治療後の歯磨きは、インプラント周囲炎を予防し、インプラントを長持ちさせるために重要です。
毛先が細い歯ブラシやフロス、歯間ブラシを適切に使い分け、インプラントと歯茎の境目を丁寧に清掃しましょう。

 

また、力を入れすぎず、優しく磨くことで、歯茎やインプラントを傷つけるリスクを減らせます。
正しいケアを続けることで、インプラントの健康と美しさを保ち、快適な生活を送れます。

 

毎日の習慣を見直し、インプラントのケアを徹底しましょう。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学

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