医療法人社団世航会
インプラント手術で使用する麻酔は4種類!特徴や効果・注意点を解説 | 歯医者さんのお役立ちコラム
公開日  更新日

インプラント手術で使用する麻酔は4種類!特徴や効果・注意点を解説

インプラント手術を受ける際に、麻酔に関する不安を抱いている方は少なくないでしょう。
歯茎を切開し、顎の骨に人工歯根を埋め込む手術は外科的な処置を伴うため、適切な麻酔が必要です。

 

インプラント手術には、痛みを軽減し患者の負担を減らすために、4種類の麻酔が使われます。

 

本記事では、インプラント手術で使用される麻酔について解説します。
手術に対する不安を解消し、自分に合った麻酔方法を選ぶための参考にしてください。

インプラント手術に麻酔が必要な理由

インプラント手術では、顎の骨に人工歯根を埋め込むため、外科的な処置を伴います。
歯茎の切開や骨への穴あけなどを行うため、麻酔なしでは強い痛みを感じ、患者がリラックスした状態で治療を受けるのは難しいです。
麻酔は痛みを軽減するだけでなく、患者の緊張を和らげる役割も果たします。

 

なお通常、手術には局所麻酔が用いられます。
手術部位周辺の神経を一時的に遮断して、痛みを感じずに治療を進められるのが魅力です。
ただし、患者が手術中に意識を保つ局所麻酔では、精神的な負担を完全に取り除くことが難しい場合があります。

 

その際は静脈内鎮静法を併用します。
静脈内鎮静法とは点滴で鎮静薬を投与し、眠気を誘う方法です。
リラックスした状態を作り出すことで、安心して治療を受けられるよう配慮されます。

 

麻酔は患者が快適に治療を受けるためだけでなく、医師が安全かつ正確に施術を行うためにも欠かせない要素です。
適切な麻酔を選ぶことで、患者の負担を最小限にしながら、治療の成功率を高めることが可能です。

インプラント治療で使用される麻酔の種類

インプラント治療で使用される麻酔は、以下のとおりです。

種類 特徴
表面麻酔
  • 歯茎や口腔内の粘膜に塗布し、感覚を鈍らせる
  • 注射時の痛みの軽減を目的としている
局所麻酔
  • 患部周辺に注射器を用いて麻酔薬を直接投与する
  • 神経を一時的に麻痺させることで痛みを完全に遮断する
静脈内鎮静法
  • 点滴を通じて鎮静剤を投与する
  • リラックスした状態でインプラント手術を受けられる
全身麻酔
  • 患者を完全に眠らせて、意識を失わせた状態で手術を行う
  • 精神的・身体的負担が最小限に抑えられる

特徴と効果を解説します。

表面麻酔

表面麻酔は、歯茎や口腔内の粘膜に塗布して、感覚を鈍らせる麻酔です。
インプラント治療では、局所麻酔を行う前に使用されることが一般的です。

 

注射時の痛みの軽減を目的としており、針の刺入や麻酔液注入時の不快感を最小限に抑えます。
軟膏やジェル、スプレー状の製剤があり、施術部位に短時間で浸透し、即効性があります。

 

効果は10~20分程度と短いため、局所麻酔の補助で活用されるのが特徴です。
表面麻酔は、患者の恐怖心や緊張を和らげる役割も果たし、痛みに敏感な方や歯科治療が初めての方にも適しています。

局所麻酔

局所麻酔は、インプラント治療で一般的に使用される麻酔方法です。
患部周辺に注射器を用いて麻酔薬を直接投与し、その部位の神経を一時的に麻痺させることで痛みを完全に遮断します。
麻酔の効果は2~3時間ほど持続し、手術中に痛みを感じることはあまりありません。

 

局所麻酔は比較的安全で、手術後も日帰りが可能な点がメリットです。
ただし、麻酔を打つ際の注射に不快感を覚える方もいるため、表面麻酔の併用で負担を軽減できます。

 

局所麻酔は患者の意識が保たれたままです。
そのため、不安が強い場合は医師と相談し、ほかの麻酔方法を組み合わせるのが望ましいです。

静脈内鎮静法

静脈内鎮静法は、点滴を通じて鎮静剤を投与する方法で、リラックスした状態でインプラント手術を受けられる麻酔法です。
緊張や不安が強い患者に適しており、うたた寝のような感覚をもたらします。

 

静脈内鎮静法は鎮静効果に特化しているため、痛みを軽減する局所麻酔と併用するのが一般的です。
手術中も呼びかけに応えられる程度の意識が保たれるため、安全性が高く日帰り手術が可能です。
ただし、手術後に眠気やふらつきが残る場合があるため、車や自転車の運転は避け、家族や友人に送迎を依頼しましょう。

 

また、保険適用外であるケースが多いため、費用面を事前に確認することが大切です。

全身麻酔

全身麻酔は、患者を完全に眠らせることで、意識を失わせた状態で手術を行う麻酔方法です。
インプラント手術では特殊なケースに用いられ、長時間の複雑な手術や患者の健康状態に応じて選択されます。

 

全身麻酔のメリットは、患者が痛みや手術中の出来事を完全に感じないため、精神的・身体的負担が最小限に抑えられることです。
しかし、全身麻酔には入院が必要となる場合や、呼吸管理を含む医療体制の整備が必要です。

 

副作用で吐き気やめまいが起こる可能性があり、術後の経過観察が必要となります。
全身麻酔を希望する場合は、医師と十分に相談し、安全性と適用条件を理解した上で選択しましょう。

インプラント手術の麻酔を選ぶ際の注意点

インプラント手術で麻酔を選ぶ際は、下記の注意点を押さえておきましょう。

  • 体調や既住歴を考慮する
  • 不安や疑問を医師に伝える
  • 手術に適している麻酔を選ぶ

詳しく解説します。

体調や既住歴を考慮する

持病やアレルギー、過去に麻酔で副作用を経験したことがある場合は、必ず医師に伝えましょう。
高血圧や糖尿病などの持病がある場合、使用できる麻酔薬が制限される可能性があります。
また、過去のアレルギー反応や普段服用している薬との相互作用についても、事前に医師に伝えることも大切です。

 

妊娠中や服用中の薬がある場合も同様です。
これらの情報をもとに、医師が安全で適切な麻酔方法を提案してくれます。

 

適切な麻酔の選択は、手術の成功と術後の安全性を高めるために欠かせません。
自分の健康状態を、正確に共有しましょう。

不安や疑問を医師に伝える

麻酔に対して不安や疑問がある場合は、遠慮せず医師に相談しましょう。
不安を軽減するためには、事前に麻酔の方法や効果、リスクなどの十分な説明を受けることが大切です。

 

麻酔の注射が怖い、過去に麻酔が効きにくかった、などの個人的な経験も医師に伝えることで、より適切な麻酔プランを提案してもらえます。
信頼関係を築くことで、安心して手術に臨めるでしょう。

手術に適している麻酔を選んでもらう

インプラント手術では、自分の体調や手術の内容、心理的負担に応じて適切な麻酔方法を選んでもらえます。
たとえば、短時間の手術には局所麻酔が適しており、不安が強い方には静脈内鎮静法が効果的です。

 

全身麻酔は特別なケースで用いられますが、そのリスクとメリットを十分に考慮して選ぶ必要があります。
医師と相談し、自分に最適な麻酔を選ぶことで、快適で安全な治療が可能になります。

インプラント手術で使用する麻酔についてよくある質問

インプラントの麻酔についてよくある質問を紹介します。

  • 麻酔の効果が切れる時間はどのくらい?
  • 手術後はどのように過ごしたらよい?
  • 麻酔の副作用はある?
  • 麻酔が切れて痛みを感じた場合はどうするべき?

詳しく見ていきましょう。

麻酔の効果が切れる時間はどのくらい?

インプラント手術で使用される麻酔の効果時間は、種類によって異なります。
一般的な局所麻酔の場合、通常2~3時間程度効果が持続します。

 

一方、静脈内鎮静法はリラックス効果が特徴で、効果時間は40分から1時間程度です。
麻酔の効果は個人差があるため、術後のスケジュールを立てる際には医師に持続時間を確認しておくと安心できます。

手術後はどのように過ごしたらよい?

手術後は、麻酔の種類に応じた注意点を守ることが大切です。
局所麻酔は、麻酔が効いている間は舌や頬を噛んだり、熱い飲み物で火傷したりする可能性があります。
そのため、食事は麻酔が切れてから摂るのがおすすめです。

 

静脈内鎮静法を受けた場合は、当日の運転や飲酒は避け、激しい運動も控えましょう。
また、眠気やふらつきが残る可能性があるため、必ず付き添いの方と帰宅し、その日は安静に過ごすことが大切です。

麻酔の副作用はある?

麻酔による一般的な副作用には、吐き気、めまい、頭痛などがあります。
局所麻酔は比較的安全性が高く、重篤な副作用はまれです。
しかし、注射部位の内出血や一時的な神経の違和感を覚えることがあります。

 

静脈内鎮静法では、眠気や倦怠感が数時間続くことがあり、記憶が曖昧になる健忘効果が現れる場合があります。
まれにアレルギー反応を起こす方もいるので、過去にアレルギー歴がある場合は、事前に医師に伝えましょう。

麻酔が切れて痛みを感じた場合はどうするべき?

麻酔が切れて痛みを感じた場合は、処方された痛み止めを医師の指示どおりに服用して対処します。
市販薬との併用は危険なので避けましょう。

 

痛みや腫れがある部分は、保冷剤やタオルで優しく冷やすことで症状を和らげます。
ただし、冷やしすぎは治癒を遅らせる可能性があるため注意が必要です。

 

痛み止めを服用しても強い痛みが続く場合や、痛みが増強する場合は、感染などの可能性もあります。
自己判断で市販薬を追加で使用するのは避け、必ず医師の指示に従うことが大切です。

 

関連記事:虫歯治療における麻酔の役割と使用後の注意点を解説

まとめ:麻酔の種類を把握して、自分に合ったインプラント治療を選ぼう

麻酔は痛みの軽減だけでなく、患者のリラックスを促し、医師が安全かつ正確に施術を行うために欠かせないものです。
インプラント手術で使用される麻酔は、表面麻酔・局所麻酔・静脈内鎮静法・全身麻酔の4種類です。

 

不安や緊張が強い方には、局所麻酔に加えて静脈内鎮静法の併用で、よりリラックスした状態で手術を受けられます。
術後の痛みは、処方された薬の適切な服用と安静により、多くの場合コントロール可能です。
ただし、麻酔の種類によって術後の注意点が異なるため、医師の指示を守ることが大切です。

 

事前に十分な説明を受け、自身の状態や不安に合わせて適切な麻酔方法を選択しましょう。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学

クリニック一覧

東京

世田谷エリア

港区エリア

西新宿区エリア

目黒区エリア

中央区エリア

千代田区エリア

江東区エリア

豊島区エリア

大阪

大阪エリア

クリニック一覧はこちら

クリニック一覧

【東京】

世田谷区エリア

港区エリア

西新宿区エリア

目黒区エリア

中央区エリア

千代田区エリア

江東区エリア

豊島区エリア

【大阪】

大阪エリア

©︎2023 Sekoukai.世航会

都内21院展開!土日診療・当日予約可能!