マウスピース矯正にかかる費用とワイヤー矯正との違い
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着するため、見た目にも気にならず装着による圧迫感が少なく、比較的安くできるメリットがあります。
ただし、ワイヤー矯正と比べると、矯正期間が長く自己管理が必要なので、どちらを選ぶべきか悩むところです。
本記事では、マウスピース矯正の費用とワイヤー矯正との違いについて解説します。
2つの違いを比較して、自分の歯並びの状態に適した方法を選びましょう。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い
マウスピース矯正は、透明のマウスピースを使って矯正します。スタンダードなワイヤータイプとは違って、口内の違和感が少なめで馴染みやすい方法です。
歯の移動状態に合わせて、マウスピースを交換しながら矯正していく方法です。
重度の歯並び以外は治療することができます。
ワイヤー治療は、矯正期間中にワイヤーの強度を調整したり交換したりするために通院頻度が多くなりますが、マウスピース矯正は、歯の状態に合わせて、1,2週間に一度、自分でマウスピースを交換するだけで良いので、毎月の調整料金がなく通院回数も少なくて済みます。
マウスピース矯正は、歯並びの程度によって適していない場合もあるため、まずは、マウスピースで矯正が可能であるか、歯科医師によって診断されます。
マウスピース矯正について、ワイヤー矯正と比較しながら特徴を確認しましょう。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の主な違い | ||
矯正方法 | マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 |
費用 | 裏側矯正、ハーフリンガル矯正より安い | 表側矯正は安い |
歯のケア | 通常通りの歯のケアができる | 矯正用歯ブラシ(タフトブラシ)使用する |
食事 | 食前に脱着し、食後に装着する | 硬い食べ物や粘着性のあるものは制限する |
装着感 | 取り外しできるので楽 | 取り外しできないので慣れるまで時間がかかる |
矯正期間 | 数ヶ月〜2年以上 | 数か月~2年以上(マウスピースより早くなる傾向) |
見た目 | 透明のマウスピースで目立たない | 金属製のワイヤーが目立つ |
アレルギー | 金属アレルギーがある人に適している | 金属アレルギーがある人には不向き |
症例 | 重度の出っ歯、受け口、開咬には不向き | どんな歯並びでも矯正の効果がある |
歯の磨きやすさ
マウスピースは取り外しが自由にできるので、歯磨きをするときは通常通りブラッシングすることができます。
ワイヤー矯正は、ワイヤーが邪魔になるので歯ブラシがしにくいため、
矯正用の歯ブラシを使用して磨くようになります。
毎日の歯のケアのためには、マウスピースの方が楽にできるメリットがあります。
食べられる物
ワイヤー矯正は、硬いものや粘着性のある食べ物は、食べにくくワイヤーに付着しやすくなります。
スルメイカやおせんべい、お餅やガム、チョコレートなどは、歯磨きが難しいので控える必要があります。
一方、マウスピース矯正は、取り外してから食事ができるので、通常通りの食事ができます。
ただし、忘れてマウスピースを付けたまま食事をしてしまうと、噛む力でマウスピースが割れてしまうこともあるため、必ず食前に脱着することが必要です。
また、熱に弱い材質なので、付けたまま熱い飲み物を飲むと変形してしまうため注意が必要です。
お手入れの際も、歪んでしまうので熱湯消毒は控えましょう。
見た目
マウスピース矯正とワイヤー矯正の一番大きな違いは見た目です。
矯正をしたい方は、歯並びを良くしたいという審美性の目的で行うことが多くなりますが、ワイヤー矯正を選ぶと、矯正期間中は、見た目の印象は悪くなります。
一方、マウスピース矯正であれば、見た目の問題はなく誰にも気づかれずに歯列矯正を行うことができます。
マウスピースの材質は、軽くて加工しやすいポリウレタンで弾性があるので、患者に適したマウスピースを作りやすい素材です。
また、非常に薄いプラスチック製なので、歯に装着した感じは自然で外部からわからない透明度があります。
歯列矯正の方法を選ぶ際に、見た目は選ぶポイントの一つです。予算と照らし合わせて、どちらが良いか検討しましょう。
費用
矯正費用は、歯並びの状態や歯の症状、矯正方法によって異なります。
ワイヤー矯正は矯正期間中に月々の調整費用やクリーニング費用などがかかります。
治療経過に合わせて通院してワイヤーの調整を行い、プラークコントロールのために歯のクリーニングを行って、虫歯や歯周病予防に備える必要があります。
したがって、ワイヤー矯正は、矯正期間中に発生する費用負担が大きくなります。
一方、マウスピース矯正は、初回の装着治療を行った後は、1〜2か月に一度くらいの頻度で通院します。
プラークコントロールについては、マウスピースを取り外しできるので、歯のお手入れをしっかりできていれば、歯科医院で歯のクリーニングをする必要が無くなります。
関連記事:歯列矯正にかかる費用はどのくらい?安くするポイントも紹介
矯正期間
矯正期間については、治療範囲によって個人差がありますが、目安として全体矯正が1〜3年程度、部分矯正が2ヶ月〜1年程度が目安です。
あくまでも目安であって、歯の状態によって矯正期間は前後します。
一般的には、ワイヤー矯正の方が、脱着できない分、強制力が高く歯の移動が大きくなるので、マウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が、早く終了する傾向です。
したがって、歯の矯正させる作用が高くなれば矯正期間も短めになります。
一方、マウスピース矯正は、矯正装置を自分で取り外しができるので、自由度が高い半面、強制的に歯を動かすという働きが弱くなります。
歯にかかる力が弱い分、矯正期間は長めになります。
痛み
歯の痛みの感じ方は、これも個人差がありますが、比較するとしたら、ワイヤー矯正の方がマウスピース矯正よりも痛みを感じやすくなります。
ワイヤーを固定している状態なので、歯に対する圧力がかかる分、痛みを生じやすくなります。
マウスピース矯正は、痛みを感じたときに取り外しできるため、我慢しなくても良いという逃げがあります。
違和感を覚えたら外せるメリットがあるので、痛みに関してはワイヤー矯正よりも緩やかです。
また、ワイヤー矯正の方が歯の動きを大きくする力が働くため、歯が動く際に痛みを感じることもあります。
自己管理
ワイヤー矯正は取り外しできないので、食べ物の制限や口内ケアに気を付けるぐらいです。
ワイヤー周りの歯のケアをしっかりすることが、ワイヤー矯正に必要な自己管理です。
マウスピース矯正は取り外しが自由にできるので、外したまま長時間忘れてしまうと矯正効果が低くなります。
また、取り外したマウスピースは、清潔な状態にして再度装着する必要があります。
マウスピースは、1日20時間から22時間以上付けていなければならないので、食前、食後に外したり付けたりする習慣を、矯正期間のおよそ2年以上、継続して行うことが必要になります。
対応可能な症例
ワイヤー矯正は、古くから歯科医院で採用されている最もスタンダードな矯正方法です。
したがって症例も多いことから、歯科医師の技術も比較的安定しています。
どんな歯並びの人にも適用できて、希望にそった歯の状態にすることが可能です。
治療計画通りに治療が進められるのはワイヤー矯正のメリットです。
マウスピース矯正は、重度の出っ歯、受け口、開咬(噛み合わせが悪い)、重度のガタつき等のケースは、治療することは難しくなります。
マウスピース矯正は、比較的新しい技術であるため、症例が少なく治療計画通りに行かないケースもあります。
矯正して確実に理想の歯の状態にしたい場合は、どちらかというとワイヤー矯正の方が適しています。
マウスピース矯正の費用の相場
マウスピース矯正には、前歯の上下の部分だけ矯正するタイプと、奥歯から全体を矯正するタイプの2種類に分かれます。
部分矯正は、治療範囲や歯の本数によって費用が前後します。また全体矯正は、歯並びの状態に合わせて費用が変わってきます。
マウスピース矯正の費用相場 | |
部分矯正 | 10万~40万円 |
全体矯正 | 60万~100万円 |
部分矯正の場合
部分矯正は、前歯のみ、部分的にマウスピースで矯正します。
およそ10万円程度から治療することができます。
ただし、歯の矯正で理想の状態にしたい場合は、30万円以上かかると考えておいた方が良いでしょう。
あくまでも、現在の歯並びの状態と理想の歯並びの状態を考えて、どのくらいの費用で希望通りにできるか、治療する前にしっかり歯科医師と相談してから始めるようにしましょう。
全体矯正の場合
全体矯正の場合は、マウスピース矯正もワイヤー矯正も、そんなに費用は変わりません。
ただし、ワイヤー矯正には、表側矯正、裏側矯正、ハーフリンガル矯正など、種類によって費用の差があり、表側矯正はマウスピース矯正よりも安くなりますが、裏側矯正、ハーフリンガル矯正と比較すると、マウスピース矯正の方が安く治療ができます。
マウスピース矯正にかかる費用の内訳
マウスピース矯正にかかる費用について相場を確認しましょう。
一般的には、カウンセリングから検査、診察を行い、歯の疾患についてチェックし、矯正しやすい歯の状態(歯の間隔など)を考慮して必要な処置を行い、マウスピースを装着して矯正期間をスタートします。
矯正期間が終わると、保定装置を付けて、矯正した歯の状態が安定するかどうか観察する期間を設けます。
マウスピース矯正を始めてから終わるまでの各工程には、大きく分けて以下の内訳で費用が発生します。
マウスピース矯正の費用内訳 | |
項目 | 費用 |
カウンセリング | 無料~5,000円 |
検査・診察 | 10,000円~65,000円 |
虫歯・歯周病治療 | 1,500円~10,000円/回 |
抜歯 | 5,000円~15,000円(1本あたり) |
研磨処置 | 3,000円〜5,000円 |
マウスピース矯正費用 | 10万~170万円 |
保定装置料 | 10,000円~60,000円 |
観察料 | 3,000円~5,000円(1回あたり) |
①カウンセリング・診断料
矯正する前の検査費用がかかります。検査には、口腔内写真、顔貌写真、レントゲン撮影、歯の型取り、CT検査などが含まれます。
検査結果をもとに診断を行い、治療方法や費用などについて説明があります。
②矯正装置料
矯正装置費用とは、マウスピース矯正に必要な器具の料金です。
透明素材のマウスピース「インビザライン」が必要になります。
③保定装置料
保定装置費用とは、歯の後戻り防止に使用する装置です。
矯正して動いた歯はもとに戻ろうとする力が働くため、保定装置を付けて歯の状態を安定させます。
④経過観察料
経過観察費用とは、矯正が終了した後、治療経過を診察するための費用です。
初回は1か月に1回、徐々に半年に1回と期間をあけながら経過を観察します。
マウスピース矯正で追加費用がかかるケース
マウスピース矯正で治療を始める前に、追加費用がかかるケースについて確認しておきましょう。
マウスピースを紛失・破損した場合
抜歯期間中にマウスピースが壊れてしまったら、再度、作り直すため追加費用が発生します。
破損や紛失で治療が中断してしまう場合は、すぐに歯科医院に電話をしましょう。
一般的には、ひとつ前のマウスピースを使用して、新しくできるまでの間使っておくことが多いです。
マウスピースが破損するのは、マウスピースを付けたまま食事をして硬いものを食べた場合、歯ぎしりや食いしばりで負荷がかかった場合、外し方が乱暴な場合、これらが主な原因になるため、丁寧に扱うように注意しましょう。
抜歯が必要な場合
歯並びの状態によって、歯を抜かないと矯正できないケースもあります。
その場合は抜歯が必要になり、1本あたり5,000〜10,000円程度で治療をします。
抜歯が必要なケースは、噛み合わせが悪い場合、歯の生え方が適切でない場合、歯が重なり合って生えている場合、出っ歯の場合に治療するようになります。
修復・治療が必要な場合
虫歯や歯周病など、事前に治療が必要な場合は、追加費用がかかります。
治療費は保険が適用されるので、軽度の症状であれば2,000円〜3,000円程度で済みます。
ただし、症状が重症化している際は、治療期間を優先してから、矯正治療を始めることになります。
歯の審美性を高めるには、もともとの歯が健康であることが必要です。
歯列矯正をしたい方は、まずは、歯の治療を済ませてから、矯正のスケジュールを立てるとスムーズに治療を進めることができます。
治療期間を延長する場合
マウスピース矯正は、事前のカウンセリングによって、治療計画を立ててから始めるようになっていますが、治療経過が、シュミレーション通りに行かないケースもあります。
この場合は、再度、治療計画を立て直すため追加費用が必要になります。
治療期間が長引くケースは、抜歯した場合に、歯と歯の距離が長くなるので矯正期間も長くなります。
歯と歯の距離が長すぎて対応が難しい場合は、ワイヤー矯正と併用して治療を進めることもあります。
このように2つの矯正方法を一緒に行う場合は矯正期間が長引く可能性が高くなります。
また、歯が重なり合っている場合や、歯槽骨が硬いと歯の動きを鈍くするため治療期間を長くする原因になります。
マウスピース矯正は保険適用か?
マウスピース矯正は、歯の医療行為の治療ではなく審美歯科治療に該当するため、保険適用外で自由診療となります。
したがって、歯科医院によって歯列矯正の費用はいろいろで、
治療メニューやプランはそれぞれ異なります。
マウスピース矯正の費用を抑える方法
マウスピース矯正は、初期費用の他に、追加費用が必要になるケースもあり、矯正期間中の約2年間をかけて高額な費用がかかります。
したがって、まずは事前のカウセリングをきちんと行って、歯科医師と相談しながら適切な治療計画を立てて、納得した上で始めるようにしましょう。
また、トータルフィー制度や医療費控除制度を利用して、高額な費用負担を抑えることも検討しましょう。
ポイント①装着ルールをきちんと守る
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正のように強制的で脱着できないタイプの治療法とは異なり、取り外しが自由で、歯のケアも通常通りにできるメリットがあります。
ただし、自由度が高い半面、自己管理をしっかりしないと効果が期待できないため、歯科医院が指導している装着ルールを守ることが大切です。
ルール通りにしないと、かえって追加費用が発生して、予算オーバーになってしまうため注意しましょう。
※装着ルール
- マウスピースの装着時間は、1日のうち20時間から22時間以上が必要になる
- およそ1週間ごとにマウスピースを交換して歯の移動に合わせていく
- 毎日の歯のケアを行う。プラークコントロールを徹底する
- マウスピースを付けたまま食事をしない。割れるリスクが高くなる
- マウスピースの衛生面を管理する
ポイント②トータルフィー制度を採用している歯科医院を選ぶ
マウスピース矯正の費用を支払う際に、トータルフィー制度を利用することができます。
トータルフィー制度は、マウスピース矯正にかかる総額費用を最初に支払う方法です。
一度に払うことができれば、治療期間が長引いても追加費用は発生しません。
ポイント③医療費控除を利用する
噛み合わせを改善するためのマウスピース矯正であれば、医療費控除の対象になります。
審美性を目的としたマウスピース矯正の場合は、対象外となります。
医療費控除制度は、1年間で支払った医療費が一定額を超えるときに、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができる制度です。
医療費控除制度を利用する際は、歯科医院に相談して、対象となる治療であるか確認しましょう。
関連記事:歯列矯正にかかる費用はどのくらい?安くするポイントも紹介
マウスピース矯正は専門歯科医院の指導で始めましょう
マウスピース矯正は、透明素材で見た目の印象が良く、ワイヤー矯正よりも装着した違和感がなく少しずつ時間をかけて矯正するタイプの治療方法です。ただし、マウスピースの取り扱いや装着ルールを守らないと、思うような理想の歯並びになるには時間がかかって、費用も高くなってしまいます。
マウスピース矯正を希望している方は、まずはカウンセリングで歯科医院に相談して、自分の歯並びに適しているか確認して、ワイヤー矯正とどちらが良いか検討すると良いでしょう。
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