インプラント治療の7つのトラブルとは?原因や対策を解説
インプラントは高度な技術を要する治療のため、治療後の痛みや腫れ・細菌感染のリスク、予想以上の費用負担など、事前に知っておくべき注意点が多く存在するのです。
本記事では、インプラント治療で起こりやすい7つのトラブルについて、原因と対策を解説します。
また、トラブルを未然に防ぐためのポイントもお伝えするので、インプラント治療を検討されている方は、安心して治療を受けるための参考にしてください。
インプラント治療の7つのトラブルと原因
インプラント治療は、高い成功率を誇る治療法ですが、100%安全とは言い切れません。なぜなら、患者の骨の状態や全身の健康状態、術後のケアの状況などによって、治療結果が大きく左右されるためです。
ここでは代表的な7つのトラブルと、その原因を解説します。
- インプラント治療後に固定されない
- 細菌に感染するリスクがある
- 腫れや痛みなど不快な症状が長期間続く
- 人工歯が破損する・取れる
- 嚙み合わせが悪くなる
- 外科手術中の血管や神経の損傷
- 予想より費用が高い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インプラント治療後に固定されない
インプラントが顎の骨と結合していない状態を「オッセオインテグレーションの失敗」と呼びます。
おもな原因は、骨密度や骨量の不足、埋入時の過剰な熱が骨にダメージを与えたなどです。
また、喫煙習慣のある方や糖尿病などの全身疾患がある場合も、固定不良のリスクが高まります。
症状は軽い刺激でグラつきを感じ、噛むときに違和感を覚えます。
早期発見・早期治療が重要なため、違和感を覚えたら早めに歯科医院を受診しましょう。
再手術が必要になることもありますが、適切な治療により改善が可能です。
細菌に感染するリスクがある
インプラント周囲炎は、インプラント周辺の歯茎や骨に起こる感染症です。
歯周病菌の感染がおもな原因で、放置すると骨が溶けてインプラントが脱落する可能性があります。
初期症状は歯茎の腫れや出血、軽い痛みなどが現れます。
とくに歯周病の既往がある方や喫煙者は注意が必要です。
予防には、日々の丁寧な歯磨きと定期的な歯科検診が欠かせません。
専用の歯ブラシや歯間ブラシを使用し、インプラント周囲の清掃を入念に行うことが効果的です。
腫れや痛みなど不快な症状が長期間続く
手術後の痛みや腫れは通常1週間程度で徐々に改善しますが、長期間続く場合は注意が必要です。
原因として感染や炎症、術後の過度な負担などが考えられます。
また、稀にアレルギー反応や免疫反応による症状の可能性も。
痛みや腫れが2週間以上続く場合や、症状が悪化する場合は速やかに主治医に相談しましょう。
腫れや痛みの部位・程度、いつから症状が出ているかなど、具体的な情報を伝えることで、より適切な対応が可能となります。
人工歯が破損する・取れる
過度な力がかかることで、人工歯が破損したり緩んだりすることがあります。
おもな原因は強い噛み締めやくいしばり、不適切な噛み合わせなどです。
また、人工歯を固定するネジの緩みによって起こることも。
人工歯のトラブルを防ぐには、定期的なメンテナンスで状態をチェックすることが大切です。
また、就寝時のマウスピース使用や、硬いものを噛まないなどの注意も必要です。
トラブルに気づいた際は、破片を誤飲する危険もあるため、すぐに歯科医院を受診しましょう。
嚙み合わせが悪くなる
噛み合わせの問題は、人工歯の位置や角度が不適切な場合に発生します。
また、時間の経過とともに顎の骨や周囲の歯の状態が変化することで、徐々に噛み合わせが悪くなることも。
症状は食事の際の違和感や頭痛、肩こりなどが現れることがあります。
定期的なメンテナンスで、噛み合わせの確認と調整を行うことで、問題の予防や改善が可能です。
違和感があったら我慢せず、主治医に相談しましょう。
外科手術中の血管や神経の損傷
手術時に顎の骨の中を通る血管や神経を損傷し、歯茎や唇・顎の痺れや違和感が生じるおそれがあります。
とくに下顎の奥歯のインプラント治療では、神経が通る場所との距離が近いため、より慎重な治療が必要です。
このリスクを最小限に抑えるためには、事前のCT検査による詳細な診断が大切です。
CTで血管や神経の位置を正確に把握し、適切な治療計画を立てることで、安全な手術が可能となります。
インプラント手術の豊富な経験を持つ医師による治療も、リスク軽減の重要なポイントといえます。
予想より費用が高い
インプラント治療は保険適用外の自由診療のため、全額自己負担となります。
また、治療を進める過程で骨造成などの追加処置を要する場合は、当初の見積もりより費用が増加することがあります。
治療開始前には、想定される治療内容と費用について、詳しい説明を受けましょう。
また、治療後のメンテナンス費用も考慮に入れた、長期的な費用計画を立てることをおすすめします。
医院によって料金体系が異なるため、複数の歯科医院で相談し、治療内容と費用を十分に検討することが大切です。
インプラント治療でトラブルを避けるための対策
インプラント治療のトラブルを最小限に抑えるためには、適切な準備と継続的なケアが重要です。
以下に、トラブルを避けるためのおもな対策を解説します。
- 実績や設備が豊富な歯科医院を選択する
- 持病がある場合は必ず申告する
- 治療後の定期メンテナンスを受ける
- 日々のケアを怠らない
- 主治医に疑問点や不安を相談する
- 費用に関して納得するまで確認する
それぞれ見ていきましょう。
実績や設備が豊富な歯科医院を選択する
インプラント治療の成功には、医師の経験と技術、そして適切な設備が不可欠です。
とくに、CTなどの最新設備が整っている医院を選ぶことで、より精密な診断と治療が可能になります。
また、手術室の清潔管理や滅菌システムなども、安全な治療には欠かせません。
医院選びのポイントとして、インプラント治療の実績や成功率、トラブル対応の体制なども重要です。
実績が豊富な医院はさまざまなケースへの対応経験があり、トラブルへの対処能力も高いといえます。
持病がある場合は必ず申告する
糖尿病や高血圧、心臓病などの持病は、インプラント治療の成功率に大きく影響する可能性があります。
また、骨粗しょう症の治療薬や血液をサラサラにする薬を服用している場合も、手術に影響が出る場合も。
これらの情報を正確に伝えることで、より安全な治療計画を立てられます。
治療前の問診では、現在の持病の状態や服用している薬をできるだけ詳しく伝えましょう。
場合によっては、かかりつけ医への確認が必要になることも。
持病があっても、適切な対策を講じることで安全な治療が可能な場合が多いため、まずは主治医に相談することが大切です。
治療後の定期メンテナンスを受ける
インプラント治療後は、3~6ヶ月ごとの定期メンテナンスが推奨されます。
メンテナンスでは、インプラントの固定状態や噛み合わせ、周囲の歯茎の健康状態などを専門的に確認します。
また、歯科医師や歯科衛生士による専門的なクリーニングで、通常の歯磨きでは取りきれない汚れも除去可能です。
インプラントのトラブルは、定期メンテナンスで防げます。
レントゲン撮影により、目では見えない骨の状態も確認できるため、問題の予防や早期発見に効果的です。
日々のケアを怠らない
インプラントを長く保つためには、毎日の丁寧なケアが大切です。
通常の歯ブラシに加え、歯間ブラシや専用のブラシを使用して、インプラント周囲を清潔に保つ必要があります。
とくに、歯と歯茎の境目は汚れがたまりやすく、炎症の原因となるため、入念な清掃が欠かせません。
正しいケア方法は、主治医に確認しましょう。
力の入れ具合やブラシの選び方・使い方など、具体的なアドバイスをもらうことで、より効果的なケアが可能になります。
主治医に疑問点や不安を相談する
インプラント治療中に違和感や不安を感じた場合は、遠慮せず主治医に相談することが大切です。
些細な症状でも、早めに伝えることでトラブルの予防や早期発見につながります。
また、治療計画や経過についても、分かりやすい説明を求めましょう。
疑問点は治療前のカウンセリングで確認しておくのがおすすめです。
治療期間や予想される痛みの程度、術後の制限事項など、具体的に確認しておくことで、安心して治療に臨めます。
医師とのコミュニケーションを密にすることで、よりよい治療結果を期待できます。
費用に関して納得するまで確認する
インプラント治療は、医院によって大きく異なります。
また、骨造成などの追加処置が必要になった場合は、予定外の費用が発生することも。
治療開始前に治療計画と費用の詳細について、十分な説明を受けることが賢明です。
確認すべきポイントは治療費用の内訳、分割払いの可否・保証内容、アフターケアの費用などがあげられます。
また、追加費用が発生する可能性がある場合は、その内容と金額も事前に確認しておきましょう。
インプラント治療でトラブルに遭った場合は?
インプラント治療でトラブルが発生した場合、1人で悩まず適切な対応を取ることが大切です。
ここでは、トラブルに遭った際の具体的な対処方法を紹介します。
- インプラントのセカンドオピニオンを受ける
- 国民生活センターに相談する
詳しく見ていきます。
インプラントのセカンドオピニオンを受ける
インプラント治療中や術後に問題が生じた際、主治医の対応に不安を感じたら、セカンドオピニオンを検討しましょう。
セカンドオピニオンでは、現在の治療状況を客観的に評価し、別の観点からの意見やアドバイスを得られます。
専門医の意見を参考にすることで、より適切な判断が可能です。
セカンドオピニオンを受ける際は、レントゲン写真やCT画像、治療内容が分かる資料を持参しましょう。
また、現在気になっている症状や不安な点を具体的に伝えることで、より詳しい評価を受けられます。
関連記事:インプラント治療後に後悔しないために知っておきたいポイント
国民生活センターに相談する
治療費用や治療内容について医院との間でトラブルが発生し、話し合いでの解決が難しい場合は、国民生活センターへの相談が有効です。
医療トラブルに関する専門の相談窓口があり、問題解決のための具体的なアドバイスを受けられるでしょう。
相談の際は、治療内容や経過・医院とのやり取りの記録、治療費用の領収書や説明書など、できるだけ詳しい情報を準備します。
公的機関である国民生活センターへの相談で、中立的な立場から問題解決のサポートを受けられ、必要に応じて専門の相談機関も紹介してもらえます。
まとめ:インプラントのトラブルが心配な方は当院へご相談を
インプラント治療は多くのメリットがある一方で、いくつかのトラブルが起こる可能性も秘めています。
しかし、適切な知識を持ち、事前に対策を講じることで、トラブルを回避できるケースがほとんどです。
当院では、経験豊富な歯科医師が、1人ひとりの状態に合わせた丁寧なインプラント治療を提供しています。
治療に関する不安や疑問点などございましたら、お気軽にご相談ください。
コラム監修者
資格
- 医療法人社団世航会 理事長・歯学博士
- ICOI 国際インプラント学会 指導医
- UCLAインプラントアソシエーション理事
- JAID 常任理事
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本口腔インプラント学会所属
- 日本補綴歯科学会所属
- 日本歯科医師会 会員
- 東京都歯科医師会 会員
- 厚生労働省認定研修医指導医
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
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