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インプラントにはどのような種類がある?構造や特徴など違いを解説 | 歯医者さんのお役立ちコラム
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インプラントにはどのような種類がある?構造や特徴など違いを解説

インプラント治療は、失った歯の機能を回復する効果的な方法として広く知られています。
しかし、インプラントにもさまざまな種類があることをご存知でしょうか。
構造や形状・材質などに特徴があり、患者の状態に合わせて最適なものが選択されます。

 

本記事では、インプラントのおもな種類と特徴について解説し、基本的な構造から最新の治療法まで幅広い情報をお届けします。
インプラント治療をお考えの方や、すでに治療を受けている方にとって、有益な情報となるでしょう。

インプラントの構造の種類は2つ

インプラントは構造によって、以下の2種類に分類されます。

比較項目 ワンピースタイプ ツーピースタイプ
基本構造 人工歯根と土台が一体型 人工歯根と土台が分離型
手術回数 1回 2回
治療期間 2~3ヶ月 3~6ヶ月
適応部位 奥歯が中心 前歯から奥歯まで
構造の特徴 シンプルで強度が高い 複雑だが調整が可能

それぞれの特徴を理解することで、治療法選びの参考になります。

ワンピースタイプ

メリット デメリット
  • 費用が比較的安価
  • 手術の負担が少ない
  • 構造が単純で壊れにくい
  • メンテナンスが容易
  • 角度調整が困難
  • 審美性に制限がある
  • 術後の微調整が難しい
  • 適応できるケースが限られる

ワンピースタイプは、人工歯根と人工歯を支える土台(アバットメント)が一体となった構造です。
一体型のため強度が高く、構造がシンプルという特徴があります。

 

一方で、歯茎に出ている部分の角度や高さの調整が難しく、前歯など見た目が重要な部分での使用には制限があります。

ツーピースタイプ

メリット デメリット
  • 細かな角度調整が可能
  • 審美性に優れる
  • 部品交換が可能
  • 幅広いケースに対応可能
  • 費用が比較的高額
  • 治療期間が長い
  • 手術回数が多い
  • 構造が複雑で部品数が多い

ツーピースタイプは、人工歯根と土台が分かれている構造です。
手術は2回に分けて行われ、治療期間は比較的長くなります。

 

また、部品が多いため費用はやや高くなりますが、状況に応じて細かな調整が可能なことから、多くの患者に選ばれています。

インプラントの形状の種類は4つ

インプラントの人工歯根には、患者の骨の状態や埋入部位に応じて選択できる形状があります。
それぞれには特徴があり、治療の目的や状況に合わせて使い分けられています。

  • スクリュータイプ
  • シリンダータイプ
  • バスケットタイプ
  • ブレードタイプ

これらの形状の中で、現在のインプラント治療ではスクリュータイプが広く使用されています。
ほかの形状は、技術の進歩や安全性の観点から、現在ほとんど使用されていません。

スクリュータイプ

スクリュータイプは、ネジのような形状をしたインプラントです。
骨との接触面積が大きく、強い初期固定が得られることから、安定性の高い治療が可能です。
表面には微細な凹凸加工が施されており、骨との結合をより強固にする工夫がされています。

 

おもなメリットは、骨との結合力が強く、長期的な安定性が高いことです。
また、さまざまな骨質に対応可能で、幅広い症例で使用できます。

 

一方で、埋入時に骨への負担があり、手術の技術が比較的難しいというデメリットも。
とくに骨が軟らかい場合は使用が制限されます。

シリンダータイプ

シリンダータイプは、円筒形の形状をしたインプラントです。
表面には特殊な加工やコーティングが施されており、これにより骨との結合を促進します。

 

スクリュータイプと比べて埋入手術が比較的簡単で、骨への負担が少ないことが特徴です。
また、手術時間が短く、術後の痛みも比較的軽減されます。

 

しかし、初期固定力がスクリュータイプより弱く、適応できる部位が限られるというデメリットがあります。
また、骨との接触面積が比較的少ないため、強く噛む力がかかる部分での使用には注意が必要です。
おもに、骨が弱い方や手術の負担を抑えたい方に適した治療法となっています。

バスケットタイプ

バスケットタイプは、かご状の形状をしたインプラントです。
中空構造になっているため、インプラント内部に骨が形成されやすく、より強固な結合が期待できます。
また、表面積が大きいことで骨との接触面積が増え、安定性に優れているのが特徴です。

 

おもなメリットは、骨との結合力が強く、長期的な安定性が高いことです。
また、中空構造により、骨の再生が促進されやすいという利点も。
一方で、埋入時に大きく骨を削る必要があり、十分な骨の量を要します。
そのため、骨が少ない方への使用は難しく、適応できるケースが限られます。

ブレードタイプ

ブレードタイプは、薄い板状の形状をしたインプラントです。
おもな顎の骨が薄い部分への埋入を目的として開発されました。
骨幅が狭い場所でも使用できるため、骨の量が少ない患者にも対応可能という特徴があります。

 

しかし、近年では骨造成技術の発達により、使用頻度は減少しています。
ほかのタイプと比べて長期的な安定性に課題があり、慎重な経過観察が必要です。
また、埋入後に強い噛む力がかかる部位での使用は避けるべきとされ、使用できる部位が限定されます。
現在は特殊なケースを除き、あまり使用されていません。

インプラントの治療法の種類について

インプラント治療には、患者の状態や希望に応じてさまざまな種類があります。
ここでは、代表的な4つの治療法について解説します。

  • 1回法と2回法
  • 即時荷重や早期荷重
  • ザイゴマインプラント
  • オールオン4

詳しく見ていきます。

1回法と2回法

1回法は、人工歯根の埋入から人工歯の装着まで一度の手術で完了する治療法です。
手術回数が少なく、治療期間も比較的短いため、患者の負担を軽減できます。
ただし、十分な骨の量と初期固定力が必要なため、適応できるケースは限られています

 

一方、2回法はもっとも一般的な治療法です。
1回目の手術で人工歯根を埋入し、骨との結合を待ってから2回目の手術で人工歯を装着します。
治療期間は3~6ヶ月程度必要ですが、確実な治療が可能です。
骨の状態に関わらず、多くの症例で対応できることが特徴です。

即時荷重や早期荷重

即時荷重は、人工歯根の埋入と同時に人工歯を装着する治療法です。
通常数ヶ月かかる治療期間を大幅に短縮でき、治療直後から噛む機能や見た目が改善されます。
ただし、良好な骨質と十分な初期固定力が必要なため、慎重な選択が求められます。

 

一方、早期荷重は通常より早めに人工歯を装着する方法です。
骨との結合が一定程度進んだ段階で人工歯を装着するため、即時荷重よりも安全性が高くなります
両治療法とも、事前の詳細な検査と診断が重要です。

ザイゴマインプラント

ザイゴマインプラントは、上顎の骨が著しく少ない場合に選択される特殊な治療法です。
通常のインプラントでは対応が難しい場合でも、頬骨(頰骨)に人工歯根を埋入することで治療が可能になります。
骨造成が必要ないため、治療期間を短縮できる利点も。

 

しかし、頬骨に長い人工歯根を埋入する高度な技術が必要なため、実施できる医師が限られています。
また、手術の難易度が高いことから、通常のインプラントと比べて費用も高額になります。
そのため、ほかの治療法が適用できない場合の選択肢として、検討されることが多いでしょう。

オールオン4

オールオン4は、4本のインプラントで上下顎のすべての歯を修復する治療法です。
従来なら6~8本必要だった人工歯根の本数を最小限に抑えることで、治療費用を軽減できます。
また、後方のインプラントを斜めに埋入する特殊な技術により、骨の量が少ない方でも骨造成を行わずに治療できる可能性があります。

 

ただし、4本のインプラントで顎全体を支えるため、精密な治療計画と高度な技術が必要です。
また、インプラントへの負担が大きいため、定期的な検診と適切なメンテナンスが欠かせません。
治療後の長期的な安定性を保つためには、患者の継続的なケアも重要となります。

インプラントの材質の種類について

材質 特徴 おもな用途
チタン
  • 生体親和性が高い
  • 強度と耐久性に優れる
  • 軽量で扱いやすい
人工歯根の主流材料
ジルコニア
  • 白色で審美性が高い
  • 金属アレルギーの心配なし
  • プラークが付きにくい
  • 人工歯の材料
  • 前歯部のインプラント
チタン合金
  • 純チタンより強度が高い
  • 加工がしやすい
人工歯根や土台

インプラントの材質には、おもなチタンやジルコニア・チタン合金が用いられており、もっとも一般的なのはチタンです。
優れた生体親和性と強度を持ち、長期的な安定性が実証されているためです。

 

金属アレルギーが心配な方や、より自然な見た目を重視する場合には、セラミックの一種であるジルコニアという選択肢があります。
とくに前歯など、審美性が求められる部位での使用に適しているのが特徴です。

 

材質の選択は埋入部位や患者の状態、予算などを総合的に判断して行います。
最適な材質の選定は、歯科医師との詳しい相談が必要です。

 

関連記事:入れ歯とインプラントはどっちがいい?違いやメリット・デメリットを解説

まとめ:インプラントの種類が気になる方は当院まで

インプラントには多様な選択肢があり、患者の骨の状態や全身の健康状態、ライフスタイルや予算など、さまざまな要因を考慮する必要があります。
どの種類のインプラントが最適なのかは、専門医による詳しい検査と診断が不可欠です。

 

当院では、詳しい検査と診断に基づき、一人ひとりに合った治療プランを提案しています。

インプラント治療をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

経験豊富な歯科医師が、丁寧にご説明させていただきます。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学

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