インプラントのメーカーを慎重に選ぶべき理由と世界の4大メーカー
歯科医院を選ぶ際に確認しておきたいのがインプラントのメーカーです。
メーカーの選択を誤ると、インプラントの寿命が短くなる、転院先を見つけられないなど、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。
本記事では、メーカー選びが重要な理由を解説するとともに、主要なインプラントのメーカー、メーカーと歯科医院の選び方を紹介しています。
インプラント治療を検討している方は、確認しておくと良いでしょう。
インプラントはメーカー選びが重要
日本歯科医師会が運営している「テーマパーク8020」によると、国内では20種類以上のインプラントが販売されています。
さまざまな選択肢があるため、インプラント治療では歯科医院選びと同様に、メーカー選びも重要視されています。
厚生労働省が発表している資料によると、10~15年時点におけるインプラントの残存率は90%程度です(部分及び全部欠損症例:上顎は90%程度、下顎は94%程度、抜歯即時埋入・骨移植を伴う埋入:87~92%程度)。
長期にわたり同じインプラントを使用するため、信頼性が高いメーカーを選ぶべきと考えられているのです。
また、メーカーのシェア率も注目すべきポイントの一つです。
メーカーにより規格は異なるため、原則として他のメーカーの製品を組み合わせて使用できません。
シェア率が低いメーカーを選ぶと、転院先を見つけられないなどのトラブルに発展する恐れがあります。
インプラント治療を受ける際は、メーカーまで確認しておくことが重要です。
出典:テーマパーク8020「インプラント 歯を失ったら」
出典:厚生労働省「歯科インプラント治療のためのQ&A」
インプラントメーカーを理解しておいたほうが良い理由
続いて、メーカーについて理解を深めておきたい理由を解説します。
歯科医院によって取り扱いメーカーが異なる
歯科医院は、原則として取り扱うメーカーを絞り込んでいます。
メーカーにより、製品の規格、使用する器具が異なるためです。
さまざまなメーカーを扱うと、それぞれの規格・器具に対応しなければなりません。
治療の水準を維持しやすくするために、取り扱うメーカーを絞り込んでいます。
以上を踏まえると歯科医院選びはメーカー選びであり、メーカー選びは歯科医院選びとも言えるでしょう。
メーカーについて理解を深めておかないと、患者様に合っている歯科医院を選べない恐れがあります。
それぞれのメーカーで長所が異なる
インプラントのメーカーにより製品の特徴は異なります。
各メーカーが独自の技術を開発したり、異なるコンセプトで製品を開発したりしているためです。
具体的には、インプラントが緩みにくい製品を販売しているメーカー、骨と結合しやすい製品を販売しているメーカー、耐久性が非常に高い製品を販売しているメーカーなどがあります。
したがって、お口の状態に応じて、適したメーカーは異なります。
一般的に評価が高いメーカーがベストとは限らないのです。
お口の状態などに適している製品を選ぶため、インプラントのメーカーについての理解を深めることが必要です。
メーカー間の互換性がない
前述の通り、インプラントのメーカーにより規格は異なります。
わかりやすく説明すると、メーカー間の互換性はないといえるでしょう。
したがって、A社とB社の製品を組み合わせて使用することはできません。
当然と思われるかもしれませんが、重大な問題につながる場合もあります。
例えば、治療やメンテナンスを続けられない状況になると、同じメーカーを扱っている転院先を探さなければなりません。
シェア率が低いメーカーだと、扱っている歯科医院を簡単に見つけられない恐れがあります。
20数種類ものインプラントが流通しているため、メーカーに対する理解を深めて、長く付き合える製品を選べるようにしておくことが大切です。
実績や品質の目安になる
インプラントの寿命は、10年以上と考えられています。
寿命を延ばすため、品質にこだわることが大切です。
とはいえ、インプラントの品質を見た目で見極めることは難しいでしょう。
参考になる要素として、メーカーが挙げられます。
実績が豊富なメーカーは、原則として市場で高く評価されています。
評価の基準になっているのが製品の品質です。
つまり、実績が豊富なメーカーの製品は、一定の品質を備えていると考えられます。
もちろん、実績が乏しいメーカーの中にも、優れた製品を扱っているところはありますが、専門的な知識がないとこれを見極めることは困難です。
メーカーについての理解を深めることで、高品質なインプラントを選びやすくなります。
インプラントを選ぶ際の判断基準
続いて、インプラントを選ぶときにチェックしたいポイントを紹介します。
構造
インプラントの基本的な構造は以下の通りです。
【構造】
- 上部構造
- アバットメント
- インプラント体
上部構造は人工歯、インプラント体は歯根部、アバットメントは人工歯と歯根部を接続するパーツと考えればよいでしょう。
インプラントは、インプラント体とアバットメントがつながっている1ピース、これらが別々になっている2ピースに分かれます。
それぞれの主なメリット・デメリットは以下の通りです。
構造 | メリット | デメリット |
1ピース | 外科手術を1回で済ませられる | 不具合が発生するとインプラント体ごと撤去しなければならない |
2ピース | 不具合が発生したときにアバットメントとインプラント体を別々に扱える | 外科手術を2回するケースが多い |
両者の特徴、お口の状態などを踏まえて選択することが大切です。
基本材料
インプラントに使用されている主な材料とその特徴は次の通りです。
材料 | 特徴 |
純チタン | 金属アレルギーを起こしにくい。顎の骨との結合性も高い。 |
チタン合金 | チタンに別の金属を混ぜて強度を高めたもの。純チタンほどではないが金属アレルギーを起こしにくい。顎の骨との結合性は高い。 |
チタン・ニッケル合金 | チタンとニッケルを混ぜて強度を高めたもの。ニッケルを使用しているため、純チタンより金属アレルギーのリスクは高い。成形しやすい点が特長。 |
材料の特徴を踏まえておくと、適したインプラントを選びやすくなります。
形状
現在、主流となっているインプラントの形状は以下の2つです。
形状 | 特徴 |
スクリュータイプ | ネジ状のインプラント体。骨と接する面積が大きいため初期固定を得やすい。また、噛む力も分散しやすいと考えられている。 |
シリンダータイプ | 円筒形をしたインプラント体。ハンマーで顎の骨に打ち込むため埋入処置が簡単。 |
シリンダータイプは、表面積が小さいためスクリュータイプに比べると初期固定を得にくいと考えられています。
したがって、シリンダータイプよりもスクリュータイプが多く用いられています。
表面処理
顎の骨との結合をよくするため、インプラントには表面処理が施されています。
表面処理の主な種類と特徴は次の通りです。
表面処理の種類 | 特徴 |
ブラスト処理 | 細かな粒子(ブラスト材)を吹き付けて表面をザラザラにする処理 |
酸処理 | ブラスト処理で使用したブラスト材を洗い流す処理 |
酸化処理 | 酸化チタンを付与して表面に凹凸をつくる処理 |
機械研磨処理 | 機械を使用してインプラント体のネック部を研ぎ磨く処理 |
複数の処理を組み合わせて用いるケースが少なくありません。
表面処理は、インプラントと顎の骨の結合に影響を与える重要なポイントです。
インプラントの主なメーカー
インプラントの大手メーカーは以下の4社です。
【大手メーカー】
- ストローマン社
- ジンヴィ社
- アストラテック社
- ノーベルバイオケア社
これらのメーカーは、4大メーカーと呼ばれています。
ここでは、各メーカーの特徴を紹介します。
ストローマン社
スイスのバーゼルに本社を構えるインプラントのメーカーです。
世界で1400万本以上のインプラントを提供しています。
主な特徴は、長期の治療成績によってその品質、信頼性が裏付けられていることです。
一般的に、耐久性の高いインプラントと評価されています。
また、高度な表面処理の技術で、骨と結合しやすくしている点もポイントです。
インプラントの学術団体「International Team for Implantology」とパートナーシップを締結して、製品を開発、販売しています。
ジンヴィ社
アメリカに本社を構え、インプラントや外科手術機器、治療管理ソリューションなどを提供する医療機器メーカーです。
2022年にZIMMER BIOMETからの分社によって誕生しました。
主な特徴は、表面処理やインプラント体の形状にこだわって、骨との結合性を高めていることです。
短いインプラント体でも定着しやすい製品を開発しています。
骨の状態が好ましくないケースでも、治療を行える可能性があります。
アストラテック社
スイス発のインプラントメーカーです。
現在は、ノースカロライナ州(アメリカ)に本社を構えるデンツプライシロナ社の傘下に入っています。
主な特徴は、周辺の組織に負担をかけにくい製品を提供していることです。
したがって、インプラント治療後の骨吸収を防ぎやすいと考えられています。
骨と結合しやすい点も特徴です。
ノーベルバイオケア社
インプラントの父とされるブローネマルク博士がスウェーデンの企業と設立したノーベルファルマを前身とするメーカーです。
ブローネマルク博士は、チタンと骨が結合することを発見しました。
主な特徴は、高度な技術力を有することです。
インプラント体の表面に細かな穴をあけて表面積を大きくした製品や複数本の歯を一体化した製品などを開発しています。
パーツの供給期間が長い点も魅力です。
そのほか日本国内で流通しているインプラントメーカー
4大メーカーのほか、国内で一定のシェアを獲得しているインプラントのメーカーもあります。
主なメーカーとしてあげられるのが京セラとジーシーです。
京セラは、1978年に日本初の歯科インプラントを販売したメーカーです。
現在は、日本人の体型に合わせたインプラントを開発しています。
ジーシーは、1921年に東京都池袋で誕生した歯科医療総合メーカーで、日本とドイツでインプラントを製造しています。
高度な技術力を生かして、さまざまな症例に対応できる製品を開発・販売している点が特長です。
インプラントメーカーや歯科医院を選ぶ際のポイント
メーカーや歯科医院を選ぶ際に気を付けるべき点について説明します。
ポイント①有名メーカーを選ぶ
有名メーカーを採用している歯科医院を選ぶことが大切です。
有名メーカーの製品は、一定の品質を備えていると考えられます。
多くの方が安心して選択できるといえるでしょう。
また、シェア率が高いため、同じ歯科医院で治療やメンテナンスを継続できなくなった際に、転院先を簡単に見つけられます。
特にこだわりがない場合は、有名メーカーを扱っている歯科医院を選ぶことが望ましいです。
ポイント②各メーカーを比較する
メーカーにより製品の特徴は異なります。
有名メーカーであっても、必ずしも適しているとは限りません。
例えば、海外メーカーの製品はサイズが大きすぎる場合もあります。
各メーカーを比較したうえで、適したものを選ぶことが重要です。
適したメーカーがわからない場合は、歯科医師に相談することが望ましいです。
ポイント③インプラント治療の実績が豊富な歯科医院を選ぶ
インプラントの治療実績が豊富な歯科医院を選ぶことも重要です。
インプラント治療は、歯科医師資格があれば誰でも行えます。
一方で、すべての歯科医師が専門的な知識、技術、経験を有しているわけではありません。
したがって、治療実績を確認する必要があるのです。
歯科医院の公式サイトで、治療件数や歯科医師の経歴、資格などを確認することが推奨されます。
インプラントのメーカーを確認してから歯科医院を選びましょう
本記事では、インプラントのメーカーについて解説しました。
インプラントの寿命は10年以上とされているため、信頼性の高いメーカーを選ぶことが重要です。
大手メーカーとして、ストローマン社、ジンヴィ社、アストラテック社などが挙げられます。
これらのメーカーは一定の品質とシェア率を備えているため、採用している歯科医院を安心して選べます。
各メーカーの特徴を踏まえたうえで、納得できるインプラントのメーカー、歯科医院を見つけてみてはいかがでしょうか。
世航会デンタルオフィスではインプラントを推奨しており、さまざまな症例に幅広く対応できる体制を整えています。
さらにインプラントについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽に世航会デンタルオフィスの無料カウンセリングにお越しください。
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