虫歯の進行速度を遅らせるには?進行を早める習慣もあわせて解説
虫歯はお子さんから高齢の方まで、誰もがかかるお口のトラブルです。ミュータンス菌と呼ばれるお口の中の細菌が増殖し、それぞれが酸を出して歯を溶かすことによって虫歯が広がっていきます。
この記事では、歯の神経にも侵食する恐ろしい虫歯について、進行度(ステージ)ごとの特徴や歯の構造、虫歯の詳しいメカニズムを紹介していきます。虫歯治療や虫歯予防に知識をつけていきたい方は、ぜひ参考にしてください。
虫歯のステージを確認
虫歯には非常に軽症な「C0(シーオー)」の状態から徐々に穴が深くなっていき、歯の奥にある歯髄にまで到達する「C4(シーフォー)」まで、いくつかの段階に分かれています。
進行度 | 虫歯の内容 | 治療方法 |
C0 | エナメル質がやや溶けた段階 | 歯を削る必要がないため経過観察 |
C1 | エナメル質が虫歯になった状態 | 虫歯を取り除いて詰め物をする |
C2 | 象牙質が虫歯になった状態 | 虫歯を取り除いて被せ物を製作し、歯を覆う |
C3 | 歯髄までが虫歯になった状態 | 根管治療の後、土台と被せ物を製作して歯を覆う |
C4 | 歯周組織にも侵食した状態 | 抜歯の後、ブリッジや入れ歯を作製して装着する |
C0はほとんど削る必要がありませんが、C1以降は虫歯が侵食している部分を取り除かなければなりません。C3以上は根管治療や人工歯の製作・装着といったプロセスが含まれることもあり、ステージに応じて虫歯を削る以外の治療が加わっていきます。
歯の構造はどうなっている?
歯の構造は、大きく3層に分かれています。表面の白い部分はエナメル質と呼ばれ、その下に象牙質が、さらに奥にはセメント質が存在しています。
象牙質の奥には歯髄と呼ばれる神経組織が通っており、歯茎の上に顔を出している部分は「歯冠(しかん)」歯茎に埋まった根元部分は「歯根(しこん)」と呼ばれています。
虫歯のメカニズム
虫歯は、歯に付着する歯垢に潜む原因菌と、お口の中の糖分によって引き起こされます。
糖分が残存した状態で歯垢を取り除かないでいると、原因菌たちが糖をエネルギー源として体に取り込み、プラークと呼ばれる歯石を作ります。この歯石はブラッシングでは取れない硬さであり、プラークができあがるとその中で菌がさらに増えていきます。
こうして糖を取り込んだ菌は、酸を産生します。この酸によって歯を構成しているエナメル質や象牙質からミネラル成分が溶け出していき、「脱灰」と呼ばれる状態になります。この時点で初期の虫歯(C0)となり、C1・C2へと移行していきます。
関連記事:虫歯の初期症状と症状が現れたときの適切な対処法について
虫歯の進行速度を早める習慣
虫歯の進行速度は、生活習慣や食習慣に左右されています。ここからは、虫歯の進行を早める3つの習慣についてみていきましょう。
糖質の摂取
糖質は、虫歯菌の活動を支えるエネルギー源です。甘い飲み物や食べもの、炭水化物などはいずれも糖質が含まれますが、少しでも口の中に残っているとそれをエネルギー源として、虫歯菌が繁殖を始めます。
虫歯の進行速度を少しでも遅らせるには、糖質を口の中に残さないようにするか、摂取量や頻度に注意しなければなりません。
間食
間食は、食事の後に行ううがいや歯磨きによってきれいになったお口の中を酸性の状態に戻してしまう行動です。
飲食の内容にもよりますが、間食によって糖分が充填されると、虫歯菌はさらに活動を活発化させてしまうため、間食の内容や歯磨きとの間隔に注意しましょう。
不適切な口腔ケア
汚れや細菌は細かい部分に溜まりやすいため、放置していると虫歯が発生します。口腔ケアは丁寧かつこまめに行うことを意識し、歯の表面や歯周ポケットはブラッシングを、歯と歯のすき間はデンタルフロスを活用してケアを行ってください。
食事から時間をおかずにケアを行うことも虫歯予防にとって大切なポイントです。食事・間食の後はできるかぎり早くにお口の中をきれいに保ちましょう。
虫歯の進行速度を遅らせる習慣
虫歯の進行速度を遅らせるには、普段の生活から見直しを行う必要があります。ここからは、虫歯の進行速度を遅らせる4つの習慣をみていきましょう。
正しいブラッシングを心がける
ブラッシングは、歯と歯のすき間を小刻みに動かすようにしてブラシの毛が寝ないように軽い力で動かします。歯肉に負担をかけないように、ブラシは強く握り込むのではなく鉛筆を持つようにして軽く持ちます。
一気に何本もの歯をブラッシングしようとすると、汚れが取りきれず磨き残しが発生しやすくなります。目安としては2本ずつケアしていくようにして、多少時間をかけながらブラッシングを行ってください。
食生活を改善する
食生活の改善ポイントとして注意したいものが糖質の摂りすぎです。甘い飲み物や食べ物はもちろん、糖質を含んでいる食材には注意が必要です。
糖質は虫歯菌だけではなく体のエネルギー源にもなるため、摂りすぎによって肥満を招くおそれもあります。体とお口の健康を維持するためにも、ぜひ食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
関連記事:【習慣・食生活別】虫歯の予防方法
甘味料に気をつける
甘味料はダイエットの心強い味方ですが、こちらも糖質を含んでおり虫歯菌の栄養源になるおそれがあります。ローカロリーであっても糖である以上は虫歯菌がエネルギー源としてしまうため、甘味料のかけすぎに注意しましょう。
乳酸菌を摂取する
胃や腸などの消化器官に良いとされている乳酸菌は、お口の健康維持にも役立つとされています。
種類としてはL8020乳酸菌・WB21・ラクトバチルス・ロイテリ菌・LS1菌などが虫歯菌の増殖予防に役立つとされており、ヨーグルトにも配合されているため食事に取り入れながら摂取ができます。
虫歯を放置するとどうなるか?
虫歯を放置していると、C0の初期症状から次第にC1やC2へと移行していきます。お口の中が不衛生であるほど虫歯の進行を招いてしまうため、歯医者に行けない場合でも口腔ケアはしっかりと続けたいところです。
万が一、お口の中が汚れたまま虫歯も放置していると、象牙質のさらに奥まで虫歯が達し、激しい痛みを感じるようになります。頬が腫れあがり、何もしていなくてもジンジンとした激しい痛みを感じるなど、放置できない状態にまで進行していきます。
それ以上に虫歯が深くなっていくと、今度は神経が侵され炎症を起こし、はじめは激しい痛みを知覚しますが徐々に痛みを感じなくなっていきます。こうして歯の歯冠から歯根へと虫歯が進むと治療が難しくなり、最終的な治療として抜歯が必要になります。
関連記事:虫歯を放置するリスクとは?治療期間や費用もチェック
そもそも虫歯にならないために
虫歯にならないための対策は、「自宅での口腔ケア」「食生活の見直し」「定期検診」「お口のクリーニング」の3点です。
自宅での口腔ケアは気軽に行えますが、手を抜かず丁寧に行いましょう。糖分を減らすために、食生活の見直しもぜひ行ってみてください。
歯医者では定期検診、お口の中のクリーニングが虫歯予防に効果的です。自分では発見できない細かな汚れも早期発見、早期治療が可能です。C0の段階で治療を終えられれば、歯を一切削ることなく虫歯の進行を食い止めることができます。
関連記事:歯医者の定期検診に通う頻度は?メリットと費用を知ろう
予防歯科で虫歯の進行を食い止める
今回は虫歯のメカニズムや進行度、虫歯にかからないための方法について紹介しました。
虫歯の治療は、早ければ早いほど痛みなく、治療回数や費用も最小限に抑えられます。「少しだけ黒くなっているけれど様子を見よう」といって放置することのないように、健康な歯を長く維持していきましょう。
世航会デンタルオフィスでは虫歯治療から予防歯科、歯周病治療まで、歯科治療を幅広くご提供しています。不安なく治療を受けていただけるよう、カウンセリングもしっかりと実施。歯が痛いと感じられている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
©︎2023 Sekoukai.世航会
都内21院展開!土日診療・当日予約可能!